訪問看護事業の経営者や管理者の皆さんに共通するお悩みは、看護師人材の確保だと感じます。そこでこれまで、良いチームを創り上げるためのフレームワークである“GRPIモデル”や"人材定着までを意識した採用プロセスの組み立て方”など、人材に関する悩みを解決するためのヒントをご紹介してきました。今回は最も採用人数が多い新年度を見据え、入職時の支援について注意すべきポイントや具体策をご紹介します。
近年、高齢化と入院日数の削減で訪問看護ニーズはますます高まっています。その追い風を受けて訪問看護ステーションの立ち上げ支援やフランチャイズ支援をしている会社も年々増えているようです。
訪問看護事業は、コストのうち人件費率が7〜8割を占めており、利用者とサービスを提供する看護師がいればほぼ成立すると言っても過言ではありません。事実、現在SNS等で広告を出している多くの訪問看護立上げコンサルティングやフランチャイズ会社等では「初期投資が少なく、すぐに初期投資を回収できる」とハードルが低いビジネスであると謳っています。
確かに訪問看護ステーションの運営に新規参入する事業者は年々増加しています。しかし、それに伴い訪問看護ステーションの統廃合も増えています。市場は活況であるにも関わらず休廃止してしまうというのはなぜでしょうか。
訪問看護ステーションの休廃止の理由は人員基準が満たせない、利益が出ていないということが多いようです。僻地等の極端な例を除くと主な原因は、「看護師が定着せず離職してしまい人員基準が満たせない」、「思うように働いてもらうことができておらず利益が出ていない」などと考えられます。
どうしたら良い人が採用できるのか、については以前の採用をテーマとした記事の中で触れていますのでそちらを参考にしてください。そして、こちらの記事でも軽く触れましたが、今回は入職時のオンボーディング支援について詳しく説明をしていきます。
オンボーディングとは、船や飛行機等の乗り物に乗っているon-boardが元になった言葉です。新しく会社や組織に入った人材にスムーズに職場に慣れてもらうことで組織への定着を促し、少しでも早く戦力化していくことを目的として行う取り組みを指します。こうした目的を考えると、新入(職)社員研修だけではなく、新入(職)社員に対する定期面談や懇親会等も含めた包括的な計画を練ることが重要です。
ここからは、オンボーディング支援においてするべき3つの取り組みを説明していきます。
(つるがやまさこ)合同会社manabico代表。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修等の仕組みづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。 【合同会社manabico HP】https://manabico.com