このシリーズでは、引き続き「令和2年度介護労働実態調査」(公益財団法人介護労働安定センター2021年8月23日公表)の結果を参照しながら、介護の人材問題について考えます。今回は、効果的な人材の定着促進策について検討していきましょう。
*参考:介護労働安定センターウェブサイト
第1回のコラムでもお伝えしましたとおり、介護事業所の離職率は年々改善傾向にあり、介護職員(訪問介護員とそのほかの介護職員の2職種計)の平均は14.9%で、全産業平均(14.2%)(厚生労働省,2021『令和2年雇用動向調査』)と同程度の水準になっています。
介護労働実態調査開始以来、離職率が最も高かった平成19年度の21.6%と比べても、介護業界は人が辞めない職場になってきたと言えるでしょう。
一方で、離職率の高い事業所と低い事業所の二極化傾向がかねてから指摘されていますが、その傾向は変わっていません。離職率が高い事業所と低い事業所では、取り組みにどのような違いがあるのでしょうか。
茨城キリスト教大学経営学部准教授。博士(政策学)、MBA(経営管理修士)。人事労務系シンクタンク等を経て現職。公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査検討委員会」委員。著書に『福祉サービスの組織と経営』(共著)中央法規出版(2021年)、『介護人材マネジメントの理論と実践』(単著)法政大学出版局(2020年)など。