厚生労働省は、介護施設や事業所が各種加算を届け出る際に自治体へ提出する資料について効率化を検討しています。具体的には、全国の自治体に様式例を示す加算の範囲を増やすほか、一部の加算については提出書類を減らしていく方向性を専門委員会に示しました。
社会保障審議会・介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」では、介護保険制度の改正などに伴い複雑化してきた指定申請、報酬請求、指導・監査に関する制度や手続きの見直しについて協議・検討を続けています。1月20日の会合では、実地指導の見直しなどのほかに、加算の取得を申請する際に管轄自治体に届け出る文書についても、自治体と施設・事業所双方の負担が軽減できないか意見が交わされました。
なお、介護報酬の仕組みについて話し合う社保審・介護給付費分科会等では、制度そのものを簡素化するべきとの指摘が度々なされており、同委員会でもその必要性が改めて確認されました。
厚労省がこの会合で示した資料を基に、加算の届け出の際に自治体への提出が必要である書類について、現状を整理してみましょう。
まず、各介護施設や事業所はいずれの加算を算定する場合でも、算定している加算を一覧で示した 「体制等状況一覧表」と事業所等の基本情報を示す「届出書」の提出が必要です(下記厚労省資料の①)。
これらに加え、設備に関わる届出を行う場合は事業所や施設の「平面図」を、人員配置の状況に関係する届出では、「勤務形態一覧表」の添付が必要です(下記厚労省資料の②)。さらに一部の加算では、その要件に応じて独自の書式など根拠資料の提出が求められます(下記厚労省資料の③)。
【画像】第9回社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会(22年1月20日開催)資料より
【画像】複雑な加算要件を確認するため、自治体によって異なる根拠資料が求められている中重度者ケア体制加算の例(同委員会資料より)
③について厚労省は、2021年度介護報酬改定で新設した加算などの算定に当たって添付すべき書類を明確に定めるなど、一定の対応をしてきました。これは、自治体ごとのローカルルールを減らしたり、文書作成の際の負担を減らしたりするための取り組みです。また、このほかの加算の一部についても、添付・提出すべき書類の様式例を示しています。
ただ、既存の加算の中には、根拠資料の明確化も国による様式例の提示もされていないものもまだ数多くあり、これが施設や事業所と自治体双方の負担になっていることが指摘されています。
そこで厚労省は今回、
・認知症専門ケア加算(居住系サービスや訪問介護、訪問入浴介護など複数のサービス) ・認知症加算(通所介護、地域密着型通所介護) ・生活相談員配置等加算(通所介護、地域密着型通所介護、短期入所生活介護) ・中重度者ケア体制加算(通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護)
など12の加算について、添付書類の様式例を新たに示す方向で検討を進めることを提案しました。
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