このシリーズでは、「令和2年度介護労働実態調査」(公益財団法人介護労働安定センター2021年8月23日公表)の結果を参照しながら、介護の人材問題について考えてきました。今回は最終回として、人材育成施策について検討します。
*参考:介護労働安定センターウェブサイト
【表1】は、介護事業所の人材育成の充実度(同業他社と比べた充実度を尋ねた質問)を定着率(事業所管理者の実感としての定着率)別にクロス集計したものです。
これを見ると、「定着率は低くない」とする事業所では人材育成の充実度が高く、「定着率が低く困っている」、「定着率は低いが困っていない」とする事業所は充実度が低いという結果となっています。つまり、人材育成施策が充実している事業所ほど、人材の定着率は良いと言えそうです。
次に介護事業所が取り組む具体的な人材育成施策について確認します。【表2】は、定着率別にみたクロス集計結果です。
茨城キリスト教大学経営学部准教授。博士(政策学)、MBA(経営管理修士)。人事労務系シンクタンク等を経て現職。公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査検討委員会」委員。著書に『福祉サービスの組織と経営』(共著)中央法規出版(2021年)、『介護人材マネジメントの理論と実践』(単著)法政大学出版局(2020年)など。