介護現場で「パワハラです」を多用する問題職員への対処法

2022.06.22
2022.08.04
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目次
    1.「パワハラです」を多用する問題職員の存在
      2.パワーハラスメントの定義
        3.裁判例の分析と対策

        1.「パワハラです」を多用する問題職員の存在

        皆様の介護事業所に、注意指導や業務に関する指摘を受けると、「それはパワハラです!」「いじめですよ!」などとすぐに反発する職員はいませんか。

        令和3年度介護報酬改定で、全ての介護事業者に「ハラスメント対策の実施」が義務付けられたこともあり、ハラスメント対策は日本全国の介護事業所において、目下の課題となっています。

        ただ、「ハラスメント」と言う言葉が一人歩きした結果、日本各地の介護事業所で、本来、「パワハラ」に該当しない場面でも「パワハラだ!いじめだ!」と主張する問題社員が出現しています。この問題を放置しておくと、管理職は疲弊し、やる気のある職員が職場からどんどん離脱してしまう重大問題に発展してしまいます。

        昨年3月20日にアップした『急増する逆パワハラ!組織崩壊を防げ!』という記事で、「逆パワハラ」への対処法について解説しましたが、今回は、より具体的に裁判例を分析して、この問題への対処法を深掘りしたいと思います。

        2.パワーハラスメントの定義

        裁判例の分析に入る前に、パワーハラスメントの定義を再度確認しておきましょう。

        職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる

        1. 優越的な関係を背景とした言動であって、
        2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
        3. 労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。

        なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

        事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】より抜粋~

        「逆パワハラ」との兼ね合いで最も重要な視点は②です。

        業務上、注意指導を受けたことに対して、「それってパワハラですよ」とすぐに反発する職員は、往々にして受け手の主観に基づいてパワハラかどうかを判断しています。

        しかしながら、パワハラかどうかは、受け手の主観では判断されません。

        業務上必要かつ相当な範囲内での注意指導であればパワハラには該当しないのです。

        そして、業務上必要かつ相当な範囲かどうかは、主観ではなく「客観的に」判断される点が重要です。

        3.裁判例の分析と対策

        今回、紹介する事例は、大阪府下のとある社会福祉法人が運営する介護事業所内で発生したハラスメントトラブルです(大阪地方裁判所令和3年2月25日判決)。

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