一定の基準に当てはまる居宅介護支援事業所を抽出し、その事業所が作成しているケアプランを市区町村が点検・検証する仕組みが、10月から始まります。訪問介護の利用適正化と、サービス付き高齢者向けや住宅型有料老人ホームなどの入居者への囲い込みを防止するという2つの目的で導入されるものですが、それぞれの運用ルールには違いがあります。この記事では、サ高住等への囲い込みを防止する目的で導入される仕組みについて詳述します。
*訪問介護の利用が多いケアプランの抽出についての解説はこちら:訪問介護の利用適正化へ、10月開始のケアプラン点検ルールの詳細
*関連記事:介護保険最新情報vol.1009「居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について(周知)」、2021年度介護報酬改定後の実地指導対策
2021年度介護報酬改定では、「サ高宅等の入居者に対する適正なサービス提供の確保」に向けていくつかの対策が採られています。
厚生労働省は既に、都道府県の福祉部局に対して住宅部局と連携のうえ、介護保険サービス事業所が併設などしている高齢者向け住まいの入居契約の内容の確認を行い、家賃の設定が不適切な可能性があるもの(不当に低い場合や、要介護度別に家賃を設定している場合など)の情報を市町村に情報提供するよう求めています。
また、市区町村には、「入居者のニーズを超えた過剰なサービス」を位置づけているケアプランを作成している可能性がある居宅介護支援事業所について、その内容を点検・検証し、指導を徹底するよう示してきました。
低廉な家賃設定で入居者を集め、自社や関係の深い事業所の在宅サービスを過剰に提供することで利益を確保するという事業モデルを、不適切なものとして、取り締まりの強化を促すものです。
ケアプランの点検・検証の仕組みは、この一環として導入されるもので、2021年10月1日以降にサ高住等(無届けホーム含む)に併設されている居宅介護支援事業所が作成、あるいは変更した入居者のケアプランが対象です。区分支給限度基準額の利用割合が高い事業所を対象に点検・検証が行うものとして、その詳細要件が9月22日の事務連絡で示されました。
事務連絡によると、ケアプランの点検・検証の基準やその前段階として居宅介護支援事業所の抽出する要件は、市区町村が必要性に応じて設定することになっています。
まず、市区町村は、
の2つの要件について基準を設定し、居宅介護支援事業所全体でこの両方の基準に当てはまる場合、利用者情報を国民健康保険団体連合会から受け取ります。
なお、区分支給限度基準額までサービスを使っているかどうかや、利用するサービス費用の割合は「計画単位数」を基に計算されます。また、区分支給限度基準額の対象外である加算等や超過部分の自己負担分は計算から除外されます。
対象の居宅介護支援事業所のうち、どのケアプランの届出を求めるかについては、訪問介護の利用割合を確認するためのルール(要介護度別に選定)のほか別途これまでに示されているガイドラインなどを参考にして、市区町村が自身で設定するよう求めています。
また、ケアプランの点検の方法についても、地域ケア会議を活用するかどうかを含め、市区町村の裁量に委ねられています。
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