10月から、一定の基準に当てはまる居宅介護支援事業所を自治体が抽出し、その事業所が作成しているケアプランの点検・検証を行う仕組みの運用が始まります。この仕組みは、訪問介護の利用適正化と、サービス付き高齢者向けや住宅型有料老人ホームなどの入居者への囲い込みを防止するという2つの目的で導入されます。点検・検証の目的に応じて、対象事業所を選定する基準を含む運用ルールには違いがあります。この記事では、訪問介護の利用適正化を目的とした運用について詳述します。
*関連記事:介護保険最新情報vol.1009「居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について(周知)」、2021年度介護報酬改定後の実地指導対策
この仕組みは、2021年の介護報酬改定・介護保険制度の改正で導入されることが決まっていました。周知のために、半年の期間をおいてこのタイミングで実施されます。
訪問介護の利用適正化という視点では、2018年度介護報酬改定で、生活援助を中心とした訪問介護の利用回数が極端に多い(「全国平均利用回数+2標準偏差」以上)ケアプランを作成した場合は、市区町村に届けることが義務化され、地域ケア会議でその内容が適正であるかどうか検証が行われるようになりました。
21年度改定では、この検証方法について、行政職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等での対応も認められ、運用が柔軟化されています。また、一度検証されたケアプランの届出頻度も見直されました。
【図】厚生労働省による2021年度介護報酬改定の説明資料より抜粋
これに加えて運用が始まるのが、「区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組み」(居宅介護支援事業所の運営基準を定める厚生労働省令の改正・第十三条十八の三の新設)です。
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