社会保障審議会・介護給付費分科会では議論がひと区切りし、先日、今後の検討テーマが整理されました。やはり関心が高いのは、処遇改善や給与についての話題です。現在、政府が介護職員の更なる賃上げを図る方向で調整しているという報道が確認されているほか、ケアマネジャーの処遇改善を要望する声も根強くあります。
2024年度介護報酬改定に向けてどのような対応策が図られるのか、現時点の情報を読み解いていきましょう。
※介護給付費分科会での検討状況(処遇改善関連加算の見直し)について新しい情報を更新しました(11月8日時点)
10月11日には、これまでの検討内容を踏まえて2024年度の介護報酬改定に向けた「基本的な視点」が取りまとめられました。
人材を巡る課題としては、物価高騰や他業種の賃金引き上げが進む中で介護分野からの人材流出が見られているなど、最近の状況にも触れられています。
今後の検討の方向性としては、特に訪問介護などで深刻な人員不足や”働きやすい職場環境づくり”への取り組みの重要性に言及されています。
(【画像】第227回社会保障審議会介護給付費分科会資料2-2を基に編集部で作成)
ここで気になるのは、24年度改定での新たな処遇改善策や対象範囲の見直しの有無です。
直近で「介護人材の処遇改善」等がメインの検討テーマとされた第223回社保審・介護給付費分科会の検討内容を振り返ると、厚労省は、
といった観点から意見を求めています。
当日はこうした検討の土台となるデータや資料として、全産業と介護職員の平均賃金の比較や加算の算定率なども示されています。
処遇改善に関する話題の中でも注目が集まっているポイントは、
に集約されます。
2点目について厚労省はこの日の検討に当たって、「介護職員の給与は、看護職員・生活相談員等・リハ職員・介護支援専門員に比べると相対的に低い」と現状認識を整理しており、これらの専門職よりも介護に直接従事する職員の賃上げを優先する姿勢であるとも読み取れます。
これを受けて、日本介護支援専門員協会副会長の濵田和則委員は、「調査データによっては、介護支援専門員の有効求人倍率が、介護職員らの有効求人倍率を上回っている」などと指摘。居宅介護支援事業所や地域包括支援センターを新たに処遇改善関連加算などの対象に加えるよう訴えました。
そのほか事業者を代表する委員からは、経営の安定化に資するよう基本報酬の引き上げについて要望などがありました。
10月17日、同分科会の外で介護職員の賃上げを巡って新たな動きがありました。
介護経営ドットコムの記事を制作・配信している編集部です。日々、介護事業所を経営する皆さんに役立つ情報を収集し、発信しています。