マスク着用の緩和などが進み、社会の動きは平時に戻りつつあります。しかし、一方で夏には新型コロナウイルス感染拡大の第9波を迎えるとの見方もあり、介護現場に対しては引き続き感染対策の徹底を求める行政文書が示されています。
厚生労働省は先日、高齢者施設の面会などの感染対策について「特に重要」な点を整理しました。ここでは、新型コロナの患者に対しても個人防護具の着用指導をしたうえで面会対応することなどが促されています。 また、感染対策の基本的な指針となる「介護現場における感染対策の手引き」が、今後見直されることも説明されています。
政府や厚労省は新型コロナの5類移行に備え、かねてから5月8日以降の感染対策の「考え方」を示してきました。 これまで事業者に対して求めてきた業界ごとの感染対策のガイドラインの作成やそれに沿った運用が、この考え方に沿って基本的には廃止されます。
(*関連リンク:新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の基本的感染対策の考え方について(内閣官房特設ページ))
しかし、こうした一連の緩和の中でも重症化リスクが高い高齢者にサービス提供を行う介護事業者には、感染対策の徹底が引き続き求められます。 4月18日付の事務連絡では、介護現場における感染対策の「考え方」を厚労省が整理しています。 ここでは、
などについて示されました。
以下、それぞれの記載内容などを解説します。
政府は2023年3月13日以降、マスクの着用について「個人の判断に委ねる」ことを積極的に発信しています。ただし、この決定が下された際は、重症化リスクが高い人が多い医療機関や高齢者施設等への訪問に当たっては「着用が効果的」との考え方も示されていました。
これらの現場に従事する人に対しても、同様に勤務中のマスク着用が「推奨」されています。
(*関連リンク:マスク着用の考え方の見直し等について(政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」))
この度の事務連絡では、厚労省がこの方針の周知を都道府県などに促しています。
さらに、従業員がマスクを着用しなくても良いとする場面は、高齢者施設などの「管理者等が適宜判断」するよう求めています。
コロナの感染拡大以降、国のスタンスが大きく変わっているのが高齢者施設等での面会や外出機会の確保についてです。
この1年半ほど、厚労省は高齢者への心身への影響を配慮して「可能な限り安全に実施できる方法を検討する」よう介護施設などに対して求めています。
(*関連記事:ウィズコロナ社会の高齢者施設等での面会について厚労省の方針と考えは?)
今回の事務連絡にも、「高齢者施設等での面会の再開・推進を図ることは重要」と厚労省としての考えが明記されています。
一方で、「5類」以降後も感染防護具などの備えや感染者が発生した際の人員手配が必要なことに変わりはありません。この点はどのような整理がなされるのか、今後改訂されることになる「感染対策の手引き」の内容や24年4月の介護報酬改定を巡る検討も継続してお伝えしてまいります。
新型コロナの感染者や感染の疑いがある利用者のケア等の方針としては、
などの考え方や手順をまとめた資料が別に示されています。
事務連絡では、感染防護具の種類とそれぞれの装着場面などについて以下の通り整理されています。
このほか新型コロナ患者に対しても、
など対応を検討するよう求めています。
ここまで見たように、介護事業者は今後、国内で感染が広がっても感染対策を徹底したうえでサービス提供を継続することが基本となっています。関連する動きとして現在、介護報酬や人員基準の緩和・特例措置なども、この考え方を前提に見直しが進められているところです。
(*関連記事:新型コロナ5類移行後の介護報酬の臨時対応・要件緩和が見直しに)
ただし、この「感染対策」の具体的な手順や、感染症発生時の対応を介護職員や管理者らに示す「感染対策の手引き」は、今後、見直されることが今回明示されており、事業者は改訂内容に応じた対応が必要になる可能性があります。
(*関連資料:介護現場における感染対策の手引き(2021年3月版)
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