新型コロナの感染症法上の位置づけが、5月8日に5類感染症へ移行し、季節性インフルエンザと同様になります。そこで、介護報酬上の特例や人員基準の緩和など介護事業に関わる対応も見直されることになりました。
この夏に感染拡大の「第9派」を迎えるという見方もある中で、ワクチン接種に協力する場合の人員基準の特例緩和など、一部のルールは今後も継続されます。一方で、事務手続きやサービス提供の簡略化を認める運用は終了する方針となりました。なお、個別具体的なルールや基準については、厚生労働省から近日中に事務連絡などで示される予定です。
新型コロナの感染症法上の位置付けは、季節性インフルエンザ等と同じ5類へ移行することが4月27日に正式に決定しました。これに伴い、同日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で、厚労省は感染拡大期に認めていた介護報酬や人員基準などの緩和措置について、今後の方針を以下の通り示しました。委員から反対意見は出ていません。
(全サービス共通)
(入所系サービス)
(通所系サービス)
例えば、通所系サービスの事業所でワクチン接種をする場合、スタッフによる接種対象者の誘導や見守りは、今後も介護保険サービスの一部として考えられることになりそうです(※「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第20報)」など。ケアマネジャーが事前に利用者に説明し同意を得て、居宅サービス計画に予め予防接種を位置付けている必要あり)。
また、医師や看護職員が自治体の要請を受けてワクチンの接種会場の応援に行く場合は、配置基準違反としない(※条件在り、「第22報」など)という運用も、同様に継続されそうです。人員配置基準以上の人員配置をした場合等に算定可能となる加算(例えば看護体制加算、看護体制強化加算、看護職員配置加算等)の算定も同様に認められます。
このほか、病床逼迫を避けるため、退院基準を満たした患者を受け入れた介護保険施設が「入退所前連携加算」を最大30日間算定できるなどのルール(「第18報」など)も維持されます。
コロナの感染拡大期には、患者へのサービス提供があったかどうかに関わらず、人員基準の緩和が認められてきました(違反や減算としない運用)。こうした要件は今後、施設や事業所で「コロナ患者等が発生した場合」に継続される予定です。
また、同様に未受講でも基準違反とはみなされていなかった「介護支援専門員実務研修の実習」 「ユニットリーダー研修の実地研修」 「認知症GH管理者等に対する認知症介護実践者研修」は、今後、新型コロナの影響で受講できなかった実習・実地研修に限り、緩和措置が継続されます。
厚労省は、今回、撤廃しても必要なサービスが提供できそうな措置は廃止する方針です。
例えば、在宅系サービスでは感染拡大下において、感染防止のためにサービス提供時間を短くしても、サービス提供区分の最短時間分の報酬算定を認めていました(通所介護:2時間以上、通所リハ1時間以上、訪問介護:20分以上等)。しかし、今後は感染対策をしたうえで通常通りのサービス提供が必要であるということが明確化されます。
なお、これらのルールは今後も状況を踏まえて検討が続けられることになります。
*今後の新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所 の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第216回社保審・介護給付費分科会資料)
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