第196回社保審・介護給付費分科会が12月9日に開かれ、前回(12月2日開催・第195回分科会)継続議題となっていた「認知症グループホームの夜勤職員体制の見直し」と「ユニット型指定老人保健施設等におけるユニット定員の緩和」に関する修正案が提示されました。本記事では委員からの発言とともに、新たに提示された対応案の詳細を整理します。
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認知症グループホームの夜勤職員の配置について、厚労省は前回の分科会にて、「3ユニットの場合であって各ユニットが同一階に隣接しており、一体的な運用が可能な構造で、安全対策をとっていることを要件に、夜勤2人以上の配置に緩和することを可能とする」改正案を提示しました。しかし、委員からは職員の過重労働や、ケアの質の低下を懸念する声が多く聞かれていました。
これを受け、厚労省は本分科会にて、「3ユニット3夜勤」を原則とし、2夜勤への緩和は「事務所の選択を可能」とする修正案を提示。施行後の事後検証を実施し、2024年度報酬改定にて必要な対応を検討する方針も併せて提案しました。
短期入所系・施設系サービスの個室ユニット型施設について、前回の分科会にて厚労省は「介護・看護職員の平均的な配置を勘案して職員を配置するよう努めることを求めつつ、1ユニットの定員を15人を超えない範囲で緩和する」改正案を提示。これに対しても、委員からは職員の過重労働や個別ケアの質の低下などを懸念する意見が聞かれました。
これを受け厚労省は、夜間及び深夜を含めた介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう努めることを求めつつ、現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」とする修正案を提示しました。
また、現行の入居定員の基準を超える新設施設は、当該ユニットの入居定員に加え、介護職員と看護職員の総数等を都道府県に届け出るなどの取り組み基準も併せて提示しています。
厚労省からの修正案について、複数の委員から賛同する意見があがる一方、日本労働組合総連合会の伊藤彰久氏は「(昼間を含めた)確実な配置について、努力義務規定でこれが担保されるか疑問」とし、再検討を要望するなど、議論が白熱する場面が見られました。
こうした審議を受け、分科会長の田中滋氏は「懸念の点はあったが、基本的には本日事務局から提示のあった対応案をベースに進めていく。ただし、今後きちんとした検証を行う」とし、概ね厚労省の修正案の方向で取りまとめを行う方針を示しました。
続けて田中分科会長は、「引き続き、分科会でも検証委員会でも、この点は取り上げていくべきだと考える」と提言しています。
取りまとめの内容は、12月10日の介護保険最新情報Vol.896でもすでに通知されています。:Vol.896 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案に係るパブリックコメントの開始について
サービス種別ごとの運営基準等の改正案がまとめられているので、チェックしておきましょう。
引用:第196回社保審・介護給付費分科会「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の報酬・基準について②」、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について②」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。