2025年度から導入予定の介護職員等処遇改善加算の算定要件を緩和―2月の申請受付から適用【ニュース解説】

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(*2024年2月19日時点の最新情報はこちら:【決定】2025(令和7)年度における介護職員等処遇改善加算の取扱いについて)

厚生労働省は、「介護職員等処遇改善加算」について2025年度から適用予定だった算定要件を緩和します。

具体的には、長期的な介護職員の定着や労働環境の改善を目的とした「職場環境等要件」や、介護職員のスキルアップ支援などを促す「キャリアパス要件」の一部について、これから整備することを「誓約」した事業所も要件を満たしたものとして扱う方針です。

こうした要件の弾力化は2月の申請受付から適用される予定で、近く関連通知が改正されます。

目次
介護職員等処遇改善加算の算定を促すための施策に関する厚労省の方針
居宅介護支援事業所のケアマネジャーの処遇改善に関する厚労省の立場

介護職員等処遇改善加算の算定を促すための施策に関する厚労省の方針

2024年12月23日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会では、処遇改善加算の取得促進策が議題となりました。

その一つとして厚労省が説明したのが、介護職員等処遇改善加算の算定要件のうち、25年度から導入する予定だったものを見直し、算定のハードルを下げるという施策です。

緩和措置は大別して以下の2種類です。

  1. 2025年度から適用予定だった「職場環境等要件」に関する見直し
  2. キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ(「昇給の仕組み」や「任用要件・賃金体系の整備」、「研修等の実施」)に適用されている経過措置の延長

です。

そのほか、キャリアパス要件Ⅳ(「改善後賃金年額440万円」)が適用除外される事業所の要件を積極的に周知し、加算申請時の負担が減らせるよう、申請様式も改めて見直される方針です。

(【画像】第243回社会保障審議会介護給付費分科会「資料3「処遇改善加算等について」より)

①2025年度から適用予定分の「職場環境等要件」の見直し

介護職員等処遇改善加算の要件の一つである「職場環境等要件」には、24年度中を期限とする経過措置が採用されています。25年度以降も同加算の算定を続けるには、本来、厳格化した職場環境等要件を満たさなければなりませんでした。

(【画像】厚労省が公開している処遇改善加算の一本化に関するリーフレットより)

(【画像】25年度以降適用予定だった「職場環境等要件」(第243回社保審・介護給付費分科会資料3「処遇改善加算等について」より))

しかし、今回、25年度中を期限とする新たな措置として、

  • 要件を整備する旨を誓約している介護事業所は職場環境等要件を満たしていることとみなす

という方針が新たに示されました。

この「誓約」以外にも、24年度の補正予算を財源として支給される予定の人材確保のための補助金を申請している介護事業所は、職場環境等要件を満たしたものとして扱われます。

②キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ(「昇給の仕組み」等)に適用する緩和措置の延長

次に、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲについての見直しです。

キャリアパス要件とは、介護職員らのキャリア形成やスキルアップを支援するために事業所へ対応を求める内容を介護職員等処遇改善加算の要件に落とし込んだもので、Ⅰ~Ⅴの5種類があります。

このうち、整備に時間がかかるⅠ〜Ⅲの要件については、24年度中を期限とする経過措置が設定されていました。

要件の名称(区分) 要件の概要 関連する加算の区分
キャリアパス要件Ⅰ
  • 介護職員の任用要件(職位、職責、職務内容等の要件)を定めていること
  • 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ~Ⅳいずれか)を算定するために最低限必要
キャリアパス要件Ⅱ
  • 介護職員の資質向上のための計画に沿った研修機会の提供等・能力評価または資格取得支援を行うこと
キャリアパス要件Ⅲ
  • 勤続年数等に応じた昇給の仕組みを整備すること
  • 介護職員等処遇改善加算Ⅲ以上の上位区分を算定するために必要

経過措置とは、加算を算定する際に提出する「処遇改善計画書」で、事業所がそれぞれの要件で求められる内容を実施する旨を誓約していれば、要件を満たしたものとして扱うというものです。今回、この経過措置の適用期限が25年度中まで延長されることも明らかになりました。

(【画像】2024年3月15日付け通知「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」より。赤枠・赤線は編集部で追加)

キャリアパス要件Ⅳ「改善後賃金年額440万円」が適用除外となる事業所とは

キャリアパス要件Ⅳとは、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)といった上位加算を算定するための要件の一つで、「経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円以上」であることを求めるものです。

同加算の算定要件等の詳細を示した通知(「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」)には、この要件が適用除外される事業所として、以下が示されています。

  • 小規模事業所等で加算額全体が少額である場合
  • 職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合

厚労省はこれらの規定について、Q&Aの拡充などで改めて周知を行う考えであることも同分科会で説明しました。

居宅介護支援事業所のケアマネジャーの処遇改善に関する厚労省の立場

ところで、この介護職員等処遇改善加算の算定対象事業所には、居宅介護支援事業所は含まれていません。

そこで、この日の介護給付費分科会では、委員が(居宅介護支援事業所等の)ケアマネジャーの処遇改善について厚労省がどのように考えているのか説明を求める場面がありました。

厚労省の担当者はこれに対し、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」などでも、「他産業それから同業他職種に見劣りしない処遇を」という指摘を受けていることを説明しました。この指摘を踏まえて、厚労省としても介護保険部会や介護給付費分科会で検討事項としたい考えであることを回答しています。

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