厚生労働省は、「介護職員等処遇改善加算」について2025年度から適用予定だった算定要件を緩和します。
具体的には、長期的な介護職員の定着や労働環境の改善を目的とした「職場環境等要件」や、介護職員のスキルアップ支援などを促す「キャリアパス要件」の一部について、これから整備することを「誓約」した事業所も要件を満たしたものとして扱う方針です。
こうした要件の弾力化は2月の申請受付から適用される予定で、近く関連通知が改正されます。
2024年12月23日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会では、処遇改善加算の取得促進策が議題となりました。
その一つとして厚労省が説明したのが、介護職員等処遇改善加算の算定要件のうち、25年度から導入する予定だったものを見直し、算定のハードルを下げるという施策です。
緩和措置は大別して以下の2種類です。
です。
そのほか、キャリアパス要件Ⅳ(「改善後賃金年額440万円」)が適用除外される事業所の要件を積極的に周知し、加算申請時の負担が減らせるよう、申請様式も改めて見直される方針です。
(【画像】第243回社会保障審議会介護給付費分科会「資料3「処遇改善加算等について」より)
介護職員等処遇改善加算の要件の一つである「職場環境等要件」には、24年度中を期限とする経過措置が採用されています。25年度以降も同加算の算定を続けるには、本来、厳格化した職場環境等要件を満たさなければなりませんでした。
(【画像】厚労省が公開している処遇改善加算の一本化に関するリーフレットより)
(【画像】25年度以降適用予定だった「職場環境等要件」(第243回社保審・介護給付費分科会資料3「処遇改善加算等について」より))
しかし、今回、25年度中を期限とする新たな措置として、
という方針が新たに示されました。
この「誓約」以外にも、24年度の補正予算を財源として支給される予定の人材確保のための補助金を申請している介護事業所は、職場環境等要件を満たしたものとして扱われます。
次に、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲについての見直しです。
キャリアパス要件とは、介護職員らのキャリア形成やスキルアップを支援するために事業所へ対応を求める内容を介護職員等処遇改善加算の要件に落とし込んだもので、Ⅰ~Ⅴの5種類があります。
このうち、整備に時間がかかるⅠ〜Ⅲの要件については、24年度中を期限とする経過措置が設定されていました。
経過措置とは、加算を算定する際に提出する「処遇改善計画書」で、事業所がそれぞれの要件で求められる内容を実施する旨を誓約していれば、要件を満たしたものとして扱うというものです。今回、この経過措置の適用期限が25年度中まで延長されることも明らかになりました。
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