山梨県で起業し、望まない介護離職を減らす為に、仕事と介護の両立ができるようサポートをしたり、介護で困る人を減らすために一般の方向けに介護の情報発信を行っている五味和仁です
前回は、「介護サービスを利用する方のご家族にも安心してもらいたい」と現場で感じたことから独立し、介護保険外事業を立ち上げた経緯についてご紹介しました。
後半では、自社のサービス内容や方針を定めていくまでの過程や、新規事業の立ち上げや起業を考えている方へのメッセージをお伝えします。
私は3年前、介護離職という課題に着目し、一般企業の介護離職防止をサポートする事業を立ち上げました。突然家族の介護が必要になった従業員が働けなくなる事態を防ぐには、企業がいつでも相談に応じられる窓口につなげられるよう準備が必要です。
ヒヤリングを重ね、企業と契約や交渉を進めていく中で新たな課題が見えてきました。
例えば、
こうした課題に向けたアプローチをいかに事業として確立し、展開していけるかを模索しているときに、県外で介護離職防止に取り組んでいる仲間達と出会いました。同時に、「産業ケアマネ」という民間資格を山梨県第一号として取得したり、一般社団法人日本顧問介護士協会とつながることができました。
前者は、会社で働く従業員に対して介護に関する知識や情報を提供し仕事と介護の両立ができるよう支援するための資格です。後者は介護相談が誰でも気軽にできる場づくりを目指し、個人向け相談や企業で働く人へのアドバイス、アドバイザーの育成などを提案している団体です。
いずれも介護領域で得た知識を社会に広く還元するための枠組みとしてとても参考になりました。こうした仲間たちとの出会いから目指す方向性が明確に固まってきたのです。 一般社団法人日本顧問介護士協会とは事業でも連携をしていくこととなり、サービス内容の強化を図ることができました。
現在当社の提供するサービス「介護離職防止サポート」としては、
こうしたサービスを導入することが福利厚生となり、従業員の安心にも繋がっていきます。また認証マークを提供させて頂くことで、企業のブランディングにも繋がります。
確かな知識を身につけ、様々な選択肢があることを理解できれば、介護を取り巻く漠然とした不安は解消されます。また、予防を意識することで親御さんとの関わり方にも変化が生じ、親御さんが元気でいてくれれば、子供も安心して働くことができます。
介護の知識や情報が事前にあるだけで介護離職は格段に少なくなります。
予備知識に加え、早めの相談ができること、セカンドオピニオンの役割を果たすこと―こうした機能を兼ね備えるプラットホームになれるよう努めていきたいと思っています。
介護業界で起業しようと考える際、それまでの経験を踏まえると介護保険事業を選択される方が多いと思います。
地域のニーズなどを調べるマーケティングをも重要ですが、まずは、「自分が何をしたいのか」「何の為に行うのか」をしっかりと考えてみてください。
「介護分野で仕事をする=介護保険事業」ではありません。
また、介護保険事業を既に手掛けていても、自費事業であれば報酬改定に左右されずに売り上げの見込みが立てられるため、2軸で展開することも今後、必要になってくると考えています。
人間の一生について考えると、どのような立場にいても介護と無縁ではいられません。介護業界として独立して存在するのではなく、社会や異業種と繋がりを持つことで視野も広がり新しいビジネスの発見にも繋がっていくと思います。
前例がないことをするには不安もあるし、周囲からも賛否両論あるかもしれません。
しかし自身の目的や志が明確であれば、必ず共感してくれる人が現れ形になっていくと思います。
大切なのは行動力と継続していくことだと思います。
介護について皆さんが自分ごとに考え一歩踏み出すことで出来ることは沢山あると思います。出会った方々とのご縁を大切に、共存しながらこれからも歩んでいきたいと思います。
1982年生まれ帝京福祉専門学校卒。保有資格は介護福祉士、介護支援専門員、産業ケアマネ。2019年に株式会社NEXTINNOVATIONを設立。介護業界で16年従事してきた経験とそこで積み上げた知識を元に「誰もが必要になる“介護”への不安を軽減したい」と考え起業。一般の人や企業を対象に介護の知識を伝え、制度やサービスとの橋渡しとなる専門家として活動。現在は、老人ホーム紹介と、従業員の望まない介護離職を軽減するために企業の福利厚生として介護離職予防支援を展開中。山梨日日新聞など数々のメディアにも取り組みを紹介される。