11月26日に開かれた第194回社保審・介護給付費分科会では、2018年度の報酬改定で設けられた、生活援助の訪問回数が多い訪問介護利用者のケアプランの届出について、頻度や検証・点検方法の見直しなどの提案が示されました。
現行では、通常よりかけ離れた生活援助の訪問回数をケアプランに位置づける場合、ケアマネジャーは市町村に対してケアプランの届出が必要です。検証の結果によってはケアプランの内容全体について再検討を促すこととなっています。
この仕組みについて、ケアマネジャーの負担感や、毎月届け出ることの必要性、地域ケア会議での検証の難しさなどの指摘があり、第192回分科会でも運用面の見直しについて議論がなされました。
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厚労省はこれまでの議論を踏まえ、ケアプランの届出頻度について年1回とする案を示しました。一度検証したケアプランの次回の届出は1年後となる見直し案です。
届出のあったケアプランの検証方法については、地域ケア会議だけでなく、行政職員やリハ職などの専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等で検証するという提案もありました。
また、ケアプランの届出回数が少なくなる代わりに、居宅介護支援事業所の点検・検証の仕組みを導入する対応案が新たに示されました。具体的には、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成している居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出し、点検・検証するといった仕組みを提案しています。
これらの厚労省の提案について、特に事業所単位の点検・検証に関する仕組みの導入に賛同する意見が多く聞かれました。ケアプランの届出頻度の見直しについては、日本経済団体連合会の井上隆氏から、「届出が年1回という点については、実行力が失われるのではという懸念がある」との意見があがっています。
居宅介護支援事業所の業務負担に関わる議論が進んでいます。12月の取りまとめに向けた議論の動向をチェックしておきましょう。
引用:第194回社保審・介護給付費分科会「制度の安定性・持続可能性の確保」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。