はじめまして。わたしは、介護事業所のIT化を支援しているNPO法人タダカヨの吉岡政明と申します。普段は、DXコンサルをしておりまして、グループの訪問看護事業所を全国で約10拠点運営する法人顧問としてDX化のほか、採用や教育などの事業運営に携わったり、居宅介護支援事業所や介護サービス事業所や一般企業のサポートをしています。タダカヨならびに現職に就くきっかけとしては、前職での実績があります。
見える化したデータやITツールは、使えばその便利さを実感してもらえるのですが、導入には知恵を絞りました。今回は、その時の経験からIT化が介護事業にもたらした変化や導入時に職員が持つネガティブイメージを払拭する術について紹介します。
私は前職で、大阪府下で10棟以上の老人ホームを運営する会社に属していました。IT化の効用を感じた経験としては、各ホームの情報の見える化の実現に取り組んだことと、福祉用具貸与事業で計画書を簡単に作成できるシステムやペーパーレスな発注システムを独自に開発し、運用したことがあります。それぞれの取り組みの狙いと効果や新しい業務運用を導入したときの周囲とのコミュニケーションについてお伝えします。
まずは“複数の老人ホームの運営情報の見える化”についてです。
これは、Microsoft Officeのエクセルに似た表計算ソフト「Googleスプレッドシート」を活用し、各ホームの入居状況や入居者様の介護度を見える化し、それら情報の集計データをオンタイムで表示した取り組みです。
本部にとって、各ホームの稼働状況は常に気になる部分です。しかし、これを報告が必要になるたびにアナログ的な手法で集計するとなると、現場管理者にとっては結構な手間になる訳です。スプレッドシートを使って必要な情報を入力しておけば、本部では欲しい情報を必要なタイミングで抽出できます。
スプレッドシートには任意の月に誕生日を迎える入居者様を一括抽出する機能を設けたり、年1回行政から依頼される、「5歳区切りの入居者様の年齢分布表」を常に表記したりするようにしておきました。これによって、わざわざ「正」の字を書きながら必要な集計しなくても良くしておりました。
さらにそのシートの中に必要な求人情報を載せておくことで、人材紹介会社や人材派遣会社に求人情報のみをホームページ情報として公開し、各会社への連絡の手間を省くような取り組みもしておりました。
導入のタイミングにおいては、「そんなの難しそうだし、ややこしそう・・・」「操作方法を覚えるのが大変そう・・・」などとネガティブな意見も出ていました
ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」をVisionに掲げ、介護事業所に無料/低コストのITツールの普及活動を行っている非営利団体。所属メンバーの多くは、社会福祉法人や医療法人で勤務しており、本業の合間を縫ってタダカヨの非営利活動に励んでいる。介護従事者のための無料オンラインPCスクール「タダスク」、高齢者施設向け無料オンラインレク「タダレク」などを主催。