介護業界でM&Aが活発化している理由|売却側・買収側それぞれの主な要因とメリット・デメリット

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介護業界のM&Aが近年活発化しています。 その背景には、売り手・買い手それぞれの事情があります。 この記事では、なぜ今介護業界でM&Aが増えているのか、双方の主な理由とメリット・デメリットを整理して解説します。

M&A市場は右肩上がりで成長

日本のM&A市場は、リーマンショックや東日本大震災による一時的な落ち込みを除けば、長期的に増加し続けています。介護業界も例外ではなく、売り手・買い手双方のニーズが高まっています。

売却側(売り手)がM&Aを選ぶ主な理由

競争環境の激化

介護保険制度が始まった2000年から20年以上が経過し、介護業界を取り巻く環境は大きく変わりました。主な変化は以下のとおりです。

  • 少子高齢化による市場拡大に魅力を感じた他業種の新規参入増加
  • 他業界との労働条件の差による深刻な人手不足
  • 経営効率化のためのIT化対応
  • 国から求められる大規模化・協業化への対応
  • 3年ごとの介護報酬改定への継続的な対応

こうした経営環境の変化が、単独での事業継続を難しくしており、M&Aを選ぶ要因のひとつになっています。

経営者の高齢化・後継者不足

東京商工リサーチの調査によると、2021年の社長の平均年齢は62.77歳と過去最高を記録しており、70〜80代の社長の割合も年々増加しています。

介護業界でも後継者問題は深刻で、親族承継・役員や従業員による承継がうまくいかないケースが多くあります。M&Aで買い手企業に事業を引き継いでおけば、利用者や従業員に影響を与えずに経営者が引退できるうえ、売却収入を引退後の生活資金として確保することもできます。

買収側(買い手)がM&Aを選ぶ主な理由

経営資源(人・モノ・ノウハウ)の獲得

M&Aによって、買収する企業の人材・設備・ノウハウを一度に手に入れることができます。自社でゼロから経営資源を積み上げるには時間とコストがかかりますが、M&Aを活用すれば既存事業の強化にも新規事業の立ち上げにも活かすことができます。

特に、人材については、少子高齢化の影響で若い働き手が減少し、企業間での人材の取り合いが続いています。M&Aで事業規模を拡大してスケールメリットを活かすことで、採用力の強化や人材の定着にもつながります。

人材戦略としてM&Aを活用する企業が増えているのも、こうした背景があるためです。

売り手側のメリット・デメリット

メリット

事業の成長・発展

買い手企業との相乗効果(シナジー効果)により、売上アップやコスト削減が期待できます。規模が大きく安定した経営基盤を持つ企業の傘下に入ることで、競争力の強化にもつながります。

事業承継問題の解決

親族承継やMBOが難しい場合でも、M&Aを活用することでスムーズな事業承継が実現できます。

従業員の雇用継続

M&Aが成約した場合、売り手企業の従業員はこれまでの雇用条件を維持したまま買い手企業に引き継がれるケースが一般的です。

売却収入の確保

建物・土地などの資産を時価評価したうえに営業権も加味されるため、純資産額より高い価格で売却できるケースも少なくありません。引退後の生活資金確保にもつながります。

経営責任からの解放

個人保証や担保提供の解除、事業継続や従業員の生活への責任から解放されることは、経営者にとって大きなメリットのひとつです。

デメリット・リスク

買い手が見つからないことがある

売り手の希望条件に合う買い手を見つけるのは簡単ではなく、仲介会社に依頼してもスムーズに進まないケースがあります。

希望価格で売却できないことがある

企業価値の算定方法は複数あり、最終的な売却額は売り手・買い手双方の合意で決まります。希望額どおりになるとは限りません。

従業員・利用者の理解を得られないことがある

M&Aの事実を伝えた際、従業員が退職したり利用者が事業所を変更したりするリスクがあります。情報開示のタイミングや説明方法には十分な配慮が必要です。

買い手側のメリット・デメリット

メリット

事業の拡大

売り手の事業所・設備・人材・ノウハウを一括で獲得でき、自社単独では難しい成長を効率的に実現できます。

事業の多角化

自社の経営戦略に合った企業を買収することで、新規事業への参入やリスク分散が可能になります。

商圏の拡大

自社が展開していないエリアの企業を買収することで、その地域特有のノウハウも含めた形で商圏を広げられます。

人材の確保

M&Aによって優秀な人材を確保できるほか、事業規模の拡大によるブランド力向上で、新規採用や定着にも好影響が期待できます。

節税効果

売り手企業が赤字を抱えている場合、スキームによっては買い手がその赤字を引き継ぎ、最長10年間にわたって自社の利益と相殺することで法人税の節税が可能になります。

デメリット・リスク

期待したシナジー効果が出ないことがある

買収後に見込んでいた収益やシナジーが実現せず、離職・利用者減少・管理コスト増などのマイナス影響が出ることがあります。

許認可を引き継げず事業継続できないことがある

介護事業では許認可の引き継ぎが特に重要です。M&A成立後に重大な法令違反が発覚するケースもあるため、事前確認を徹底する必要があります。

簿外債務を引き継ぐリスク

貸借対照表に記載されていない未払給与・退職金・外部とのトラブルなどを引き継いでしまう可能性があります。デューデリジェンス(事前調査)と契約内容の整備が不可欠です。

従業員のモチベーション低下

労働条件・評価制度・福利厚生の変化によって、売り手側従業員のモチベーションが下がったり、退職につながったりするリスクがあります。M&A成約後の早い段階で現場のキーパーソンと信頼関係を築くことが重要です。

まとめ:介護M&Aは「その後の戦略」が鍵

介護業界でM&Aが活発化している背景には、売り手・買い手双方のニーズの高まりがあります。さらに国からも規模化・協業化が推奨され、サービスの質向上も求められている今、M&Aはひとつの有力な経営選択肢です。 ただし、M&Aはゴールではなく出発点です。成約後も利用者へのサービスをいかに継続・向上させるかが、最終的な成否を分けます。

カイポケが提供しているカイポケM&AサービスではM&Aに関するあらゆるご質問を受け付けております。 今後のM&Aも含めた戦略について気になる点があれば、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

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