はじめまして。わたしは、介護事業所のIT化を支援しているNPO法人タダカヨの清水信貴と申します。普段は介護事業も行う医療法人で医事課次長や医療連携室の主任をしております。
法人の事業運営をするなかで感じるのが、介護事業所においてIT技術はますます重要性を増しているということです。特に管理者のITスキル向上は、介護事業所を強くするために必要不可欠な要素といえます。本稿では、NPO法人タダカヨのコンテンツを1年以上活用し、学びを続けている4人の管理者(居宅介護事業所3名、通所介護1名)が、これまで抱えていた課題をどのようなITスキルを身に着け、どのように現場を変化させたのかについて探究していきます。
4人の管理者が所属する全ての事業所で、ITを活用する前は事務作業による残業が常態化していました。
具体的にどのような作業が残業を積み上げていったのか、聞き取った内容を記したいと思います。
特にタイピングが苦手な職員にとってはパソコンへ転記する際の負担が大きく、時間的なロスが発生していました。
相手のパソコンで展開する手間が発生するとともに、どれが最新のファイルか見失うこともしばしばあったとのことです。
利用者からそれらを一旦預かって次回訪問時に返している事業所では、時折「預けたきり返却されていない」と利用者宅から連絡が入り、急遽返却のために再訪問する等の苦労もあったそうです。
多くの事業所においてコミュニケーション方法は電話が主だったため、行き違いやかけなおしが多く、それにより連絡が翌日になったりかけ忘れたりと情報の伝達・共有に支障が出ていました。
このような課題を抱えながら業務をする事が常態的な残業につながり、結果、支援にあてる時間がなかなか取れず、管理者も職員も疲弊している実態が判明しました。
とはいえ、管理者自身もどうやって課題を解決すればいいのかわからず、例え便利なツールを見つけても、法人本部にその必要性や導入効果をうまく説明する事ができず手詰まり感を抱えていました。
上記のような課題を抱えた管理者が、タダカヨのコンテンツであるPCスクール「タダスク」に参加しITスキルを高める事で少しずつ課題解決の糸口を見出していきました。彼らから「実際に役立った」というツールやアイデアを教えてもらったので、以下に紹介します。
転記やタイピングの効率化に効果的という意見が多くありました。このツールを使って、自事業所の住所や電話番号などの頻繁に入力するもののほか、ケアプラン作成の際に繰り返し使う文言を予め登録することで手間いらずで入力できます。
ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ」をVisionに掲げ、介護事業所に無料/低コストのITツールの普及活動を行っている非営利団体。所属メンバーの多くは、社会福祉法人や医療法人で勤務しており、本業の合間を縫ってタダカヨの非営利活動に励んでいる。介護従事者のための無料オンラインPCスクール「タダスク」、高齢者施設向け無料オンラインレク「タダレク」などを主催。