骨太方針2024が閣議決定―介護事業に関わるキーワードをまとめてチェック

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政府は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針)」を閣議決定しました。
原案で示されていた通り、介護保険制度の「改革」について必要性と具体策が盛り込まれています。

また、本方針では幅広い分野における社会課題へ対応し、経済成長を図るための施策として”DXの推進”の必要性が強調されており、医療・介護領域も例外ではありません。

介護事業に関わりの深いキーワードと国の対策について、一気にチェックしましょう。

医療・介護DXの推進を「持続的な経済成長」策として位置づけ

政府の重要課題や翌年度の予算編成の方針がまとめられている骨太の方針は、次の法・制度改正に向けた議論でも大前提として扱われるものです。

今回閣議決定された方針のうち、社会保障施策の方向性はおおむね”案”で記載されていた通りで、「応能負担の徹底」や「現役世代・高齢世代などの給付・負担構造の見直し」、「効率的で強靱な医療・介護の提供体制の実現」などによって全世代型社会保障制度の構築を進めるものとされています。

特に、”2024”では国の経済成長に向けたビジョンとして、「国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会の実現」を掲げており、それを実現させる手段の一つとして、医療・介護DXの推進などが挙がっています。

(【画像】「骨太方針2024PR資料」では、医療・介護DXを推進する方針が強調されている(~総論~)(~政策ファイル~))

骨太の方針2024に記載の介護関連キーワードと国の対策

以下、介護事業に関わりの深いキーワードやテーマとそれに対応する主な国の対策についての記載を一覧にします。

施策の方向性を示すキーワードやテーマ 国の対策についての記載
全世代型社会保障の構築
  • 中長期的な時間軸も視野に入れた医療・介護DXやICT、ロボットなど先進技術・データの徹底活用やタスクシフト/シェアやリ・スキリングの推進等による「生産性の向上」、女性・高齢者など誰もが意欲に応じて活躍できる「生涯活躍社会の実現」など関連する政策によって対応する。
  • 全世代型社会保障の将来的な姿を国民に分かりやすく情報提供する。
医療・介護・障害福祉サービスにおける賃上げの促進
  • 賃上げの状況等について実態を把握しつつ 、賃上げに向けた要請を継続するなど、持続的な賃上げに向けた取組を進める。
包摂的社会の実現、共生社会の構築
  • 独居高齢者等に対する政府横断的な対応を推進する(高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの普及、情報登録プラットフォームを始めとする必要な支援を検討)
  • 認知症施策推進基本計画の策定、施策の推進
  • 新たな高齢社会対策大綱策定(夏頃)
2040年頃を見据えた、医療・介護の複合ニーズ、 85歳以上人口の増大や現役世代の減少等への対応
  • かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体に拡大する
介護従事者不足への対応
  • 医療機関との連携強化、介護サービス事業者のテクノロジーの活用や協働化・大規模化、保有資産を含む財務情報や職種別の給与に係る情報などの経営状況の見える化を推進した上で、処遇の改善や業務負担軽減・職場環境改善が適切に図られるよう取り組む。
  • 必要な介護サービスを確保するため、外国人介護人材を含めた人材確保対策を進め、地域軸、時間軸も踏まえた中長期的な介護サービス提供体制を確保するビジョンの在り方について検討する。
給付と負担のバランス、現役世代の負担上昇の抑制 以下の論点について第10期介護保険事業計画期間の開始の前までに検討を行い、結論を得る。
  • 介護保険制度の利用者負担2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し
  • ケアマネジメントに関する給付の在り方
  • 軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方

以下の論点について報酬体系の見直しや規制強化、 公的な職業紹介の機能の強化の更なる検討を含め、実効性ある対策を講じる。 

  • 高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題
  • 医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担

ビジネスケアラーへの対応も念頭に、介護保険外サービスの利用促進のため、自治体における柔軟な運用、適切なサービス選択や信頼性向上に向けた環境整備を図る。

予防・重症化予防・健康づくりの推進
  • 元気な高齢者の増加と要介護認定率の低下に向け、総合事業の充実により、地域の多様な主体による柔軟なサービス提供を通じた効果的な介護予防に 向けた取組を推進する。
  • エビデンスに基づく科学的介護を推進し、医療と介護の間で適切なケアサイクルの確立を図る。
  • ウェアラブルデバイスに記録されるライフログデータ(睡眠・歩数等)を含むPHR(パーソナル・ヘルスケア・レコード)について、医療や介護との連携も視野に活用を図る。
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