介護業界でM&A仲介サービスを選定するときのポイント

2022.08.29
2022.09.29
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近年介護業界でも活発になってきているM&Aですが、M&Aをサポートする仲介サービス会社によって専門分野、手数料、業務遂行範囲は異なっています。
契約をする前にしっかりと見極めてから相談するようにしましょう。
本記事では介護M&A仲介会社を選ぶときのポイントをご紹介します。

目次
    M&A仲介サービスとは
    手数料について
    仲介会社を見分けるポイント
    M&Aについては早めの相談を

      M&A仲介サービスとは

      M&A仲介サービスと紹介サービスなどの違い

      M&Aをサポートする業者は数多くありますが、その内容は仲介サービスやマッチングサービスなど様々です。まずは、どのようなサービスがあるのかについて説明いたします。

      <仲介サービス>
      M&Aのアドバイザーが譲渡企業と譲受企業の間に入り、中立的な立場でM&Aを成功に導くための助言業務を行います。

      したがって、売り手と買い手のどちらか一方の利益の最大化を目指すのではなく、両者の間に立って客観的に中立的な立場でM&A成立へ向けた交渉の仲介を行います。

      M&A仲介サービスは、単に相手企業を探すことだけでなく、下記のようなM&Aの全プロセスをサポートするサービスとなります。

      ・M&Aに関するアドバイス
      ・M&Aの候補先の選定、提案
      ・企業価値(株式価値)の算定
      ・M&Aの相手先との交渉やスキームの構築
      ・デューデリジェンス(売り手側の企業についての調査)の支援
      ・契約書類の作成支援

      <マッチングサービス>
      M&Aマッチングサービス(マッチングサイト)とは、Webサービスを介し、M&Aの売り手を探したり、買い手を探したり、双方をマッチングしたりするサービスのことを指します。

      M&Aマッチングサイトは、売買する相手を探したり連絡を取り合ったりする工程を利用者が行なうため、仲介サービスに比べコストを抑えることができます。

      ただし、複雑なM&Aのプロセスを基本的には自身で行うため、M&Aがスムーズに進まないこともあります。

      <FAアドバイザリーサービス>
      FAとはファイナンシャル・アドバイザーの略で、M&Aにおける助言業務を行う人のことで、売り手、もしくは買い手のいずれかのサポートを行います。

      仲介と違う点は、売り手、買い手のどちらか一方につくため、顧客の利益を最大化するように行動するという点はメリットですが、一方、同時に対立点も明確になり、お互いの利益を主張し合い、交渉が纏まりにくくなるというデメリットもあります。

      特に、FAが顧客の期待に応えようと、相手側に過度な要求を行なうことで、交渉自体を決裂させてしまうことや、M&A成立後の関係に禍根を残してしまうこともあります。

      見分けるポイント(業務役務範囲の確認)

      実際のM&Aの局面において、どのサービスを活用するかは、自社の状況により選択することとなります。

      M&Aを全面的にサポートしてほしい場合は仲介サービス、単に相手先を見つけたい場合はマッチングサイト、相手が決まっており自社のサポートのみをしてほしい場合はFAアドバイザリーサービスを選択します。

      自社の状況や依頼したい内容を事前に整理し、それぞれのメリット・デメリットをよく検討したうえで、業者を選定する必要がありますが、相手企業選びから始める場合は仲介サービスを活用するのがよいでしょう。

      手数料について

      一般的な手数料(着手金・中間金・成功報酬)

      M&A仲介サービスで発生する費用の種類について説明します。

      <着手金>
      M&Aアドバイザーが、企業のニーズを基に相手先企業を探す際に発生するのが着手金で、最終的にM&Aが成約しなかったとしても、多くの場合返金されることはありません。

      M&Aを進めるための様々な準備にかかる費用ですが、最近の傾向では着手金なしというサービスも多くあります。

      <中間金・中間報酬>
      相手先が見つかり、M&Aの基本合意の締結時に業者に支払うのが中間報酬です。

      一般的には、成功報酬の10〜30%程度が発生します。

      この中間報酬を支払った後に最終局面に入り、大きな問題がなければ、成約へと進みます。

      中間報酬は、M&Aが成約しなかった場合でも返金されることはありませんが、M&Aが成功した場合には、成功報酬に充当されるケースが多いようです。

      <成功報酬>
      M&Aが成約し、最終契約を締結した時点で発生するのが成功報酬です。

      成功報酬の金額は、一般的にレーマン方式という計算方法を採用しているところがほとんどで、譲渡金額が高ければ高いほど、成功報酬額も大きくなります。

      レーマン方式とは

      レーマン方式とは、M&A取引における成功報酬の体系で、M&Aのアドバイザリー会社や仲介事業者で一般的に使われています。取引金額に応じて報酬料率が逓減する仕組みになっています。

      一般的なレーマン方式の報酬率は、以下のとおりです。
      譲渡価格が5億円以下であれば一律5%の報酬率となりますが、5億円を超えると計算式が複雑になります。

      完全成功報酬制

      成功報酬を取引金額に応じた料率で徴収する完全成功報酬型を採用している仲介会社では、成約完了までに通常発生する着手金などの費用がかかりません。

      成功報酬型(全成果報酬型)を採用している会社でも、「完全」となっていない場合は着手金などの費用がかかるため、よく確認することが必要です。

      M&Aのコストを抑えたいのであれば、完全成功報酬型の仲介会社を選ぶとよいでしょう。

      仲介会社を見分けるポイント

      M&Aは、企業経営上非常に重要な機密性の高い取引となります。

      それに対し、M&A仲介会社は大小、さまざま存在しますが、選定の際は、ポイントを抑えることが重要です。

      コスト面だけでなく、以下に記載するポイントを抑え、信頼・安心して任せられる業者を選ぶようにしましょう。

      得意としている業界はどこか

      M&A仲介会社によっては業界に特化して仲介を行う会社もあります。

      業界の専門的な知識や実績が多く、ノウハウを蓄積していることから、信頼性が期待できます。

      特定のエリアや業種に特化する仲介会社も存在するので、どのような業界実績を持っているかを確認しましょう。

      実績は十分か

      M&Aの成功には多様な選択肢が不可欠となります。

      多くの相手候補企業との繋がりがあることで、より条件に合った相手先を見つけやすくなるためです。

      M&A仲介会社は、どのようなネットワーク数を保持しているかを公開していることが多いため、依頼先のM&A仲介会社の保有ネットワーク数は確認した方が良いでしょう。

      また、成約実績など、過去にどの様なM&Aを取り扱ったかの確認もすることも重要です。

      費用はどの程度かかるか

      先にも記載しましたが、M&Aにはさまざまな手数料が設定されています。

      その中でも見るべきポイントとしてはこちらの3点が主にあげられます。

      ・相談料や着手金が発生するか
      ・中間報酬などは発生するか
      ・成功報酬として支払う費用

      基本的に、M&A仲介会社などのホームページなどを見れば報酬体系が記載されていますので、プロセスが進む中での金銭面のトラブルを防ぐためにも、事前に確認しておきましょう。

      M&Aについては早めの相談を

      M&Aのプロセスは下記のように非常に複雑で、かつ、早くても数カ月、長ければ1年以上もの期間がかかるため、実施したいときにすぐにできるものではありません。

      また、売り手、買い手双方のタイミングも重要になります。

      【M&Aの代表的なプロセス】
      ・M&A業者の選定
      ・相手先企業の選定
      ・トップ面談
      ・基本合意
      ・デューデリジェンス
      ・最終合意
      ・クロージング

      カイポケが提供しているカイポケM&Aサービスは相手先の選定まで原則無料で相談が可能です。通常のM&A仲介会社で発生する着手金や中間金もなく、初めての方でも安心してご相談いただけるように分かりやすい料金体系になっています。介護・福祉専門なので、介護施設の経営状態含め、従業員や利用者の状況に応じて適切な相手先をご紹介可能です。

      少しでも将来的に考えられている場合は早めのご相談をおすすめいたします。ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

      *カイポケM&Aサービスはこちら

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