社会保障審議会・介護給付費分科会では、2024年度介護報酬改定でのサービス別の対応について詳細の検討に入りました。デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護)では、厚生労働省が入浴介助加算の算定要件に、研修の受講を求めることなどを提案しています。これには委員からの反対意見もあり、まだどのように着地するかは見通せません。しかし、何らかの見直しが行われる可能性は大きそうです。
そのほか、個別機能訓練加算の見直しなどの論点とその検討状況についてお伝えします。
10月26日の会合では通所系サービスについて2回目の審議が行われました。
そのうち、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護について、厚生労働省は以下の通り具体的な改定案を示しています。
(【画像】第229回社会保障審議会・介護給付費分科会資料より(以下同様))
(※入浴介助加算の要件等はこちら)
(※個別機能訓練加算の要件等はこちら)
以下に各論点に沿って検討状況をまとめます。
入浴介助加算に関して、(Ⅰ)の改定案には入浴介助の技術修練を促したいという厚労省の狙いがあります。これは(Ⅱ)を算定している事業所では研修を実施している事業所が多い傾向にあったことを踏まえたものです。
ただし、研修の受講は事業者や職員の負担を伴うため賛否は分かれています。
具体的には以下のような意見がありました。
一方、入浴介助加算(Ⅱ)は、21年度で創設された要件(”利用者宅の浴室環境の評価や整備”、”利用者宅の浴室環境を踏まえた入浴計画の作成”、”医師らとの連携”など)が算定のハードルとなっているのが現状です。そのため、厚労省の提案に対する賛否だけではなく、根本的な見直しを求める意見も複数ありました。
主なものに
といった意見がありました。
個別機能訓練加算の見直し案は機能訓練指導員の配置時間要件を緩和する分、単価減を提案するものですが目立った反対意見は出ていません。
今回俎上に上っている上位区分(I)ロの算定率は通所介護で26.8%、地域密着型通所介護で12.6%と高くはないことも影響しているでしょう。
配置要件や専従要件の緩和については、
などの見方も表明されています。
感染症の流行や災害などによってサービス提供が難しい場合に備え、加算の枠組みを残すという方針で、これもめだった反対はありませんでした。
その上で、
といった指摘がされています。
厚労省の提案そのものへの反対意見は出ていませんが、以下のような要望がありました。
委員からは厚労省の提案以外にも、基本報酬のアップなどについて要望がありました。
以下が主な内容です。
厚労省の提案に挙がっていた入浴介助加算(I)(II)、個別機能訓練加算それぞれの要件の見直しなどは今後さらに詳細が詰められることになるでしょう。
そのほかの要望など、今後の動向についても進展があり次第お伝えしてまいります。
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