2024年度介護保険制度改正とそれに向けた法改正を巡る審議が進んでいる社会保障審議会・介護保険部会。これまで、大きなテーマとして「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」策の検討が進められてきました。このうち、在宅系サービスを巡って検討されている事項には、介護サービスの統合再編があります。看護小規模多機能型居宅介護と療養通所介護など、機能や利用者像が似ているサービスが統合される可能性が示唆されています。
社保審・介護保険部会ではこれまで、次期制度改正を巡る4つの検討テーマとして以下が示されています。
*関連記事:介護サービスの整備方針策定に向けた検討、介護保険部会で始動
9月上旬までの間に、優先して検討されてきたのは以下の通り、「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について」です。
(【画像】第96回社会保障審議会・介護保険部会資料(22年8月27日開催)より)
このテーマの対象となるのは、「在宅サービスの基盤整備の在り方」(地域性に応じた基盤整備や重度者や医療ニーズへの対応)、「在宅医療・介護連携」、「施設サービスの基盤整備の在り方」「施設入所者に対する医療提供 」、「医療や生活支援なども含めたケアマネジメントの質の向上」、「科学的介護の推進」 、「地域における高齢者リハビリテーションの推進」、「住まいと生活支援の一体的支援」、「認知症施策の推進 」、「家族を含めた相談支援体制の推進」、「通いの場、一般介護予防事業」、「保険者機能の強化」 などといった施策です。
本稿では、特に在宅サービスの基盤整備について議論の進捗状況を確認します。
厚労省は、在宅サービスの基盤整備を進める上での検討事項として、特に「複合的なニーズに柔軟に応えていくためのサービス提供の在り方」について、委員らの意見を促してきました。これと併せて、
を論点として示しています。検討の前提として、厚労省は看護小規模多機能型居宅介護の事業所数が年々増加していることと、療養通所介護の事業所数が伸び悩んでいることを示すデータを示しており、両サービスの統合の可能性を示唆しています。
(【画像】第96回社会保障審議会 介護保険部会(参考資料)より)
このほか、参考資料として示された厚労省の調査研究事業の報告書では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の機能や利用者像が共通していることから、「統合することが可能ではないか」との見方が示されています。
これらのサービスの整理・統合について賛同を示した委員はいたものの、明確な反対意見は出ていません。
関連する意見としては、濵田和則委員(日本介護支援専門員協会・副会長)が、夜間対応型訪問介護について、指定基準や報酬基準などを整理したうえで「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の一類型とすることなども検討してはどうか」と提案しています。
厚労省は、独居・高齢者のみ世帯の今後の急激な増加を見据えた方策として、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護など包括型サービスの普及策についても意見を求めています。
濵田委員は、これらのサービス事業所の定員などに柔軟性を持たせた上で、「地域包括支援センターのように日常生活圏域に平均的に整備されることが望ましい」との考えを示しました。その際、例えば訪問系サービスや通所系サービス、宿泊サービス等が連携することによって同様の機能が担えている圏域では、それに相当する取扱いを可能にするなど柔軟な考え方を取り入れるよう提案しています。
齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)は小規模自治体で看多機の整備が進んでいないことを指摘。その要因として、看多機は地域密着型に分類されるため、原則として市町村の住民のみが利用可能なサービスであることを挙げています。その上で、事業者の新規参入障壁を下げるため、中重度者の確保が困難な地域などでは、「市町村を越えた二次医療圏単位で利用を可能にすることも必要なのではないか」と主張しています。
介護経営ドットコムの記事を制作・配信している編集部です。日々、介護事業所を経営する皆さんに役立つ情報を収集し、発信しています。