次期介護保険制度の改正に向けた施策の検討が進み始めました。社会保障審議会・介護保険部会では5月16日、「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」をテーマに意見が交わされました。今回の改正では、2040年を焦点に施策が組まれていくことになります。この先、介護ニーズがピークを過ぎ減少に転じる地域も存在する一方で、都市部では増加が続くという地域差を踏まえ、介護サービスの基盤整備に関する方針が検討されます。
現在、介護保険制度の施策は40年に向けて起こる「生産年齢人口の急減」と、「85歳以上人口の急速な増加」への対応が主眼に置かれ、検討が進められています。次期制度改正(23年の介護保険法等の改正、24~26年を対象期間とした第9期介護保険事業(支援)計画の策定)でこうした問題に対応するために、厚生労働省が今回、介護保険部会の委員に 議論を促したテーマが「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」です。
各地域においてどのようなサービスに重点を置いて予算や必要定員数などの整備目標を設定するのか、また、サービス間の役割分担や連携の在り方をどのように定義し、仕組みとして機能させていくのかといった方針や施策について、部会として論点を整理していきます。
21年度の介護報酬改定の内容を振り返ってみると、「地域包括ケアシステムの推進」を掲げて採用された施策は以下のものでした。
これらをさらに、「深化・推進」するための具体的な項目として厚労省は、
部会では、委員の立場などに応じて幅広い意見が示されましたが、本稿では一つ目の項目の「介護サービスの基盤整備」について現在の検討状況を確認していきます。
【画像】2040年時点の需要を見据え各地域で介護サービスの基盤整備が整備される(第93回介護保険部会資料より)
サービス基盤の整備を考える上で着目されるのが、”地域差”です。また、社会保障制度の持続可能性・資源や財源の有効活用という観点からは、サービス種別間の”役割分担”についても改めて実態を精査し、検討されることになります。
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