令和3年度介護報酬改定では、利用者の口腔機能・栄養状態を早期に確認し、重症化の予防や回復などにつなげる観点から、口腔・栄養スクリーニングの取組を一体的に行うことを評価する「口腔・栄養スクリーニング加算」が新設されました。現場での実務内容や、スクリーニングの項目、算定に必要な様式などを確認しておきましょう。
介護職員等が実施可能な口腔スクリーニングと、「栄養スクリーニング加算」による取組・評価を、一体的に行うことを評価する加算です。
例えば、噛む力が弱まって食事摂取量が減った場合、必要なエネルギーやたんぱく質などの栄養素が不足し、低栄養のリスクが高まるなど、口腔の健康状態と栄養状態は密接に関わっています。
口腔・栄養状態のスクリーニングを一体的に実施するべきとして、2021年度の介護報酬改定にて新設されました。これに伴い、「栄養スクリーニング加算」は廃止となりました。
通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護
通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、看護小規模多機能型居宅介護の場合
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ):20単位/回口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ):5単位/回
(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護の場合
口腔・栄養スクリーニング加算:20単位/回
利用開始時および利用中6カ月ごとに、利用者の口腔の健康状態もしくは栄養状態について確認を行い、利用者を担当する介護支援専門員に、いずれかの情報を提供すること。
利用開始時および利用中6カ月ごとに、利用者の口腔の健康状態と栄養状態について確認を行い、利用者を担当する介護支援専門員に情報提供すること。
口腔・栄養スクリーニング加算Ⅰ・Ⅱともに、6カ月に1回の算定が限度です。
算定要件の詳細:口腔・栄養スクリーニング加算 2021年度介護報酬改定の変更ポイント
介護職員等は、利用者のサービス利用開始時または事業所における口腔・栄養スクリーニング加算の算定開始時に、厚労省の示す「口腔・栄養スクリーニング様式」を用いるなどしてスクリーニングを行う。
厚労省ダウンロード資料:「別紙様式6 口腔・栄養スクリーニング様式」
介護職員等は、利用者のスクリーニング結果を、当該利用者を担当する介護支援専門員に文書等(「口腔・栄養スクリーニング様式」を参考)で情報提供する。
口腔の健康状態が低下しているおそれのある場合、または低栄養状態の利用者については、かかりつけ医や、かかりつけ歯科医への受診状況を利用者やその家族等に確認し、必要に応じて受診を促すとともに、当該利用者を担当する介護支援専門員に対して、口腔機能向上サービスや、栄養改善サービスの提供を検討するように依頼すること。
介護職員等は、再スクリーニングを6カ月毎に実施するとともに、前回実施した際の結果と併せて、②に従い、介護支援専門員に情報提供等を行う。これらを継続的に実施することにより、利用者の口腔の健康状態と栄養状態の維持・向上に努めること。
・硬いものを避け、柔らかいものばかり食べる歯を失うと肉や野菜等の摂取割合が減り、柔らかい麺類やパン等の摂取割合が増えることが指摘されている。
・入れ歯を使っている入れ歯があわないと噛みにくい、発音しにくい等の問題がでてくる。歯が少ないが入れ歯を使っていない場合には、口腔の問題だけでなく認知症や転倒のリスクが高まる。
・むせやすい飲み込む力が弱まると飲食の際にむせたり、飲み込みづらくなって、食事が大変になる。誤嚥性肺炎のリスクも高まる。
・身長、体重、BMI
・直近1~6カ月間における体重減少の状況
・血清アルブミン値(確認できる場合のみ)
・食事摂取量 など
・口腔・栄養スクリーニングは、ケアマネジメントの一環として、介護職員等が、利用者全員の口腔の健康状態及および栄養状態を継続的に把握することが望ましい。
・事業所における口腔・栄養スクリーニングに関する手順をあらかじめ定めること。また、効率的・効果的にスクリーニングを実施するため、口腔の健康状態のスクリーニングと栄養状態のスクリーニングは一体的に実施することが望ましい。
・事業所は、口腔・栄養スクリーニングの実施体制を評価し、効率的・効果的に実施できるよう改善すべき課題を整理・分析し、継続的な見直しに努めること。
・利用者が複数の通所事業所等を利用している場合は、口腔・栄養スクリーニングを行う事業所を、利用者または家族の希望も踏まえてサービス担当者会議等で検討した上で介護支援専門員が決定することとし、原則として、当該事業所が継続的にスクリーニングを実施すること。
関連資料:リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(PDF形式)
引用:「別紙様式6 口腔・栄養スクリーニング様式」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。