訪問看護事業のM&Aを成功に導く ーM&A後の統合プロセスに必要なたった1つの準備

2022.12.13
2022.12.19
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前回、最近増えている訪問看護ステーションのM&Aについて、売り手側と買い手側双方がどのような状況にあるのかについて説明しました。また、双方がどのような状況であっても、M&Aを成功させるにはM&A後の統合プロセスを上手に乗り切ることが重要です。しかし、M&A前の買収精査(デューデリジェンス)のプロセスをサポートする外部機関の活用は一般的ですが、M&A後の“統合プロセスに”おいて外部機関のサポートを受ける経営者の方は少ないのではないでしょうか。

そこで、今回はM&A後の統合プロセス前にすべきことをご紹介していきます。

目次
    なぜ統合プランが必要なのか
      組織変革に向けた「解凍→移動→再凍結」の3ステップ

      なぜ統合プランが必要なのか

      知人の経営者から直接譲り受けるなどの場合を除き、M&Aの一般的なプロセスは、外部機関から買収先の名前がわからない状態で案件提示を受けることから始まります。その後、守秘義務契約等を行なった上で売り手側と買い手側双方にお互いの情報が伝えられ、買収精査(デューデリジェンス)というプロセスを経て価格や条件面で折り合いがつけば正式にM&Aの締結となります。

      今回のこのシリーズでご説明するのは、このM&Aが締結された後に行われる組織の統合作業についてです。上述した通り、M&Aは守秘義務に関わることが多いため、買収される側の企業の多くの関係者にとってはM&A契約が正式に締結されてから様々な事実を知ることになります。

      一般的にM&Aは経営層など少数のメンバーで検討がなされ、実際に現場で働く人たちは買収されるということが公になって初めてその事実を知るなんてことも少なくありません。今まで全く別の組織で働いてきた人々がある日を境に一緒に働くようになる、しかも買収される側にとっては、今までとは異なる組織文化に順応していくことが求められます。買収する側にとっても、異なる組織文化で働いていた人々を受け入れて順応していくことが求められます。

      このように、これまで別々に動いていた組織が一緒になる、つまり統合するということは、そのプロセスに多くの困難が生じることが想像されます。論理的にはわかっても、気持ちとしては受け入れられないという状況になることも多くあります。

      また、たとえ同業者による買収であっても、会社が異なれば組織文化だけではなく仕事の進め方や物事を決める際の仕組み、社内ルールなどが異なっているため方法を変えてもらう必要があります。

      このような人と組織にまつわる困難を乗り越えるためには、M&Aで2つの組織が統合する際の計画つまり、統合プランを事前に検討しておくことが必要です。

      組織変革に向けた「解凍→移動→再凍結」の3ステップ

      そこで、今回は買収側が売却側組織を統合するためのプランを作成する際のヒントとして、アメリカの社会心理学社であるクルト・レヴィンが提唱した「解凍→移動→再凍結」という組織変革の3ステップをご紹介します。

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