これまで、M&Aを実施した後の組織の統合プロセスを円滑に進めるには、統合プランを事前に作成しておくことが重要と説明してきました。さらに買収側の属性を、同業者(多店舗化)、関連事業者(多角化)、異業種(新規事業)に分け、“組織変革に向けた3ステップのプロセス”に沿った統合プランを検討してきました。
(* 訪問看護事業M&A後の統合プランの考え方:多店舗化を検討する場合)
(* 訪問看護事業のM&A後の統合プランの考え方:介護事業者の多角化を目的とする場合)
(*訪問看護事業のM&A後の統合プランの考え方:全くの異業種が訪問看護ステーションをM&Aをする場合)
今回は訪問看護事業を買収した後の組織統合の総まとめとして、訪問看護事業のM&Aを検討する全ての経営者に向けて押さえておくべき3つのポイントをご紹介していきます。
これまで何人もの経営者の方に訪問看護ステーションの運営について話を伺ってきましたが、活気があり、なおかつ訪問件数の多いステーションには、例外なく優秀な管理者がいらっしゃいました。つまり、訪問看護ステーションのM&Aは買収先の管理者が優秀であれば成功の可能性が飛躍的に高まると言っても過言ではないと思います。
訪問看護は基本的に看護師が提供するサービスです。そのため、ステーションを取りまとめる管理者の重要性には異論がないと思います。
反面、訪問看護ステーションによっては、全ての業務が管理者頼みになっている可能性もあります。しかし、看護の質の管理も経営数値の管理も職員の管理も全てを完璧にこなすことのできる人間などいません。
仮に優秀な管理者がいるステーションを買収できたり、優秀な管理者をおくことができたりしても、管理者を支援する体制のないステーションはいずれその優秀な看護管理者を潰してしまいかねません。
(つるがやまさこ)合同会社manabico代表。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修等の仕組みづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。 【合同会社manabico HP】https://manabico.com※プロフィールは記事配信当時の情報です