厚生労働省は、成長と分配の好循環に向けた「人への投資」に力を入れていきます。
具体的には、「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージが骨格となります。
この政策については、次のストーリーをイメージすると理解しやすいでしょう。
①人口オーナス期における人口減少、少子高齢化に伴う人手不足を克服する必要がある ②人手不足への技術的対応策として、業務改善により、省力化、効率化を図り、労働生産性を高め、賃上げの原資を創り出す必要がある ③人手不足への物理的対応策として、既存労働者や求職者のスキルアップを図り、より高度な業務や未経験の業務をさせ、賃上げの原資を創り出す必要がある ④業務改善やスキルアップの実現により、労働生産性が高い労働環境を整えるとともに、高賃金の高レベル人材の採用や育成を実現し、盤石な利益体質を整える必要がある ⑤利益体質になることで、積極的な賃上げマインドが生まれ、賃上げが実現する
すなわち「人への投資」には、次に掲げる4つのキーワードが重要となってきます。
(1)業務改善 (2)スキルアップ (3)高レベル人材 (4)賃上げ
助成金制度を活用するということは、行政目標の達成に協力するという意味合いを持っています。また、助成金は、企業が必要な要件を満たせば受給でき、返還する必要のないお金です。
つまり、助成金を活用すればするほど、国家への貢献となり、企業には資金余力ができるという構図になります。
ところで、コロナ禍では、多くの企業が雇用調整助成金を活用して、従業員の雇用を守りました。コロナ禍における行政の目標は、コロナによる離職防止です。雇用調整助成金が利用できたおかげで、企業が存続し、解雇を免れた労働者は数えきれないほどです。
一方で、コロナ禍での雇用調整助成金の制度運用は、通常時の雇用調整助成金の制度運用とは大きく異なっていたため、不正受給が簡単にできる環境になっていました。その結果、助成金詐欺や助成金不正受給といったワードがマスコミをにぎわすこととなっています。
助成金を活用するうえで気を付けなければならないことはただ一つです。
『助成金を取りにいかない』
みなさまの会社が実現したいことと4つのキーワードが合致するのなら、ぜひ助成金制度を活用してください。
しかし、助成金受給を最終目的とすると、みなさまの会社には不要な行動、費用が発生します。さらに受給可能性が低くなるケースが多いです。これは、費用対効果が悪く、単に時間と労力とお金を消費するだけになりますので、避けたい行動です。
4つのキーワードとして、(1)業務改善(2)スキルアップ(3)高レベル人材(4)賃上げをお伝えしました。
それぞれのキーワードごとに、今年狙い目の助成金をお伝えします。
生産性を向上させるための設備投資などの予定がある場合にご検討ください。
Office SUGIYAMA グループ代表。採用定着士、特定社会保険労務士、行政書士。1967年愛知県岡崎市生まれ。勤務先の倒産を機に宮崎県で創業。20名近くのスタッフを有し、採用定着から退職マネジメントに至るまで、日本各地の人事を一気通貫にサポートする。HRテックを精力的に推進し、クライアントのDX化支援に強みを持つ。著書は『「労務管理」の実務がまるごとわかる本(日本実業出版)』『新採用戦略ハンドブック(労働新聞社)』など