介護事業のBCPと法人内での人員調整の重要性

2022.08.31
2024.01.30
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目次
    1.BCPで手薄になりがちなポイント
      2.BCPは策定しただけでは意味が無い
        3.同一法人内の職員の調整を具体的にルール化しよう
          4.外部サービスの活用も視野に入れよう

            1.BCPで手薄になりがちなポイント

            皆様も既にご存知のとおり、2021年度介護報酬改定で、21年4月から全ての介護事業者を対象にBCP(業務継続計画)の策定が義務付けられました。完全義務化は24年4月以降ですが、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている状況下で、同感染症発生時のBCP策定を先んじて策定した介護事業者も多いのではないかと思います。

            筆者が代表を務める弁護士法人かなめでは、日本全国の介護事業者の方々にオンラインですぐに法律相談ができる顧問弁護士サービス『かなめねっと』を提供しており、日々、様々な法律相談を受けています。本稿では、コロナ陽性者が発生した介護事業所からの相談で見えてきたBCPで手薄になりがちなポイントのうち、筆者が特に重要であると考えるポイントの1つを解説したいと思います。

            そのポイントとは、ズバリ、「同一法人内における人員調整の仕組みが構築されていない」ということです。以下、詳しく解説します。

            2.BCPは策定しただけでは意味が無い

            新型コロナウイルス感染症BCPの最重要ポイントは、「人員をどう確保するか」です。

            感染疑い・感染者が発覚した場合、ゾーニングやコホーティング、徹底した消毒作業等、業務量が急激に増大します。そして、職員からコロナ陽性者が発生した場合には、さらに人員も減り、当該事業所の職員一人ひとりの業務量が急増します。この観点から、「人員をどう確保するか」が、新型コロナウイルス感染症BCPの最重要ポイントになるのです。

            ここで、例えば、グループホーム、デイサービス、特養、ヘルパーステーションの4事業を運営しているA法人において、グループホーム内でコロナ陽性者が多数発生して、人員確保が難しくなった状況を考えてみます。

            残り1698文字
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