コロナ禍を機に推進│居宅介護支援事業所の情報伝達DXとその効果

2023.12.12
2023.12.12
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2020年の新型コロナウイルス感染拡大は居宅支援事業所の働き方にインパクトを与えました。感染防止のための特例措置や利用者・ご家族からの要望等により、ケアマネジャーは利用者宅への訪問を控えることが増え、サービス担当者会議も電話での照会に置き換えることが認められていました。

当時を振り返ると、この出来事が情報伝達の効率化を大きく進めるターニングポイントだったと感じます。感染の恐怖と戦っていた日々ではありましたが、コロナ対策にのみ追われていては自身と事業所の成長が止まってしまうと感じ、情報通信技術の活用に取り組むことを決意しました。

私は、普段、居宅介護支援事業所の管理者として3名のケアマネジャーとともに働いています。コロナ禍に際して、彼女達と話し合いながら事業所内外との情報共有でのICT活用を進めたときの経験についてお伝えします。

目次
    口頭連絡が生む無駄な業務やミスがコロナ禍の緊急対応を阻んだ
      正確で効率的な情報共有の必要性を訴えチャットツールを導入
        FAXからメールへの変更に7割のサービス事業所が協力
          新型コロナという有事に迫られた業務効率化とその恩恵

            口頭連絡が生む無駄な業務やミスがコロナ禍の緊急対応を阻んだ

            「ICTを使って業務効率化を図ろう」―。当時、こう決めたからには、まず自分達を取り巻く課題について共通認識を持つ必要があると考えました。そこで、私たちは初めに、現状の課題について事業所内で意見を出し合いました。特に課題感が強かったのは、口頭による情報伝達や共有についてです。

            「言った、言わない」という類の不毛な争いや伝言ゲームの過程で起こる情報の変化、伝言メモを残す手間、情報収集や発信スピードの遅れによる対応ミス…すぐに思い当たる範囲でもさまざまな問題が起こっていました。

            また、コロナ対策では、利用者から感染の連絡を受けたらすぐにサービス事業所へ連絡するなどといった迅速な対応が必要でした。しかし利用者向けの対応やサービス調整の業務負担軽減を効果的に進めるには、ケアマネジャーだけではどうしようもない部分もあります。

            そこで次に私たちは、メンバー全員がどのような情報のやり取りをしているのかを挙げ、”急ぐ・急がない”、”重要・重要でない”、”伝えなくても良いこと”、”曖昧である”、”面白い”、”悲しい”…などなど、情報をラベリングしていきました。

            その後、すぐに使うことができる、あるいはこれから使えるテクノロジーは何かを書き出しました。スマートフォン・パソコン・タブレットやスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスなどです。

            そして、それらを使ってどのような情報のやり取りができるのかを書き出しました。

            ショートメール・Eメール・LINE・チャット・SNSなどです。

            最後に、ここで上がった情報の種類と連絡手段をまとめて、どのような状況でどのような連絡手段を使うと効果的なのか時間を掛けて話し合いました。

            正確で効率的な情報共有の必要性を訴えチャットツールを導入

            事業所内での話し合いの結果をもとに行ったのは、職場の上司へのスマホ購入の相談です。

            それまで事業所では折りたたみ携帯を使っていましたが、外出先や自宅待機中、コロナに感染した時の情報周知や急ぎの対応など、「正確で効率的な情報伝達が求められる今、どこにいても大事な情報を伝達、共有することが大切だ」と訴えました。スマホの購入には約半年間かかりましたが、なんとか決裁がおりてスマホの購入とチャットツールの導入に至りました。

            残り1509文字
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