2022年4月1日より「排泄予測支援機器」が介護保険の特定福祉用具販売の対象種目として新たに追加されました。3月31日に厚生労働省より通知が発出され、現場で実際に活用する際の取扱いに関する留意事項等が明らかとなりましたので、本稿にて詳細を整理します。
介護保険の給付対象となる福祉用具の品目への「排泄予測支援機器」の追加については、厚労省の「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」で年度をまたいで話し合われてきました。
この機器は超音波等を利用して膀胱内の尿の溜まり具合を可視化するものです。排尿の機会を本人や介護者に通知することで自立した排泄を支援し、トイレ誘導にかかる負担の軽減も期待されています。
検討会では、機器が適用される利用者像や適用可否を判断するフローの明確化など、実用に向けてまだ検討すべきといえる課題も一部で指摘されていました。今回の通知では、こうした懸念なども踏まえ、留意事項および取扱いの方針が明文化されました。
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今回発出された通知にて、「排泄予測支援機器」の給付対象となる具体的な定義と判断基準が示されました。
「排泄予測支援機器」はあくまでトイレでの自立した排尿を支援するものです。給付対象は「トイレでの自立した排尿が困難となっている居宅要介護者等であって、排尿の機会の予測が可能となることで、失禁を回避し、トイレで排尿をすることが見込める者」と定義付けています。
この通知では、Q&A形式で「対象者」についての厚労省の見解がいくつか示されましたので、整理しましょう。
排泄予測支援機器の使用方法については以下の2パターンが想定されます。
上記1のケースも考えられるため、独居者は「必ずしも給付対象外になるものではない」とされています。そのうえで、適切な使用によってトイレでの自立した排泄が期待できるのか、十分に検討するよう求めています。
十分に検討の上、適切に使用することによりトイレでの自立した排泄が期待できる場合は給付対象となります。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。