認知症グループホームでサテライト型事業所の基準創設へ ケアマネの配置も緩和「1事業所に1人以上」

2020.12.10
2021.03.19
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12月2日に第195回社保審・介護給付費分科会が開かれ、2021年度介護報酬改定の取りまとめに向けた、運営基準の改正事項案が示されました。認知症対応型共同生活介護(以下、グループホーム)に関連した改正案では、サテライト型事業所の基準創設や計画作成担当者の配置基準の緩和、無資格者の認知症介護基礎研修の受講を義務化することなどが提示されましたので、本記事でまとめていきます。

目次
    サテライト型事業所創設・ユニット数「3以下」へ
      介護支援専門員の配置、1事業所ごとに1人以上へ緩和
        無資格者は認知症介護基礎研修の受講が必須に、e-ラーニングでの受講も検討
          夜勤職員体制の緩和案は決定持ち越し

            サテライト型事業所創設・ユニット数「3以下」へ

            グループホームの需要は今後も増大することが見込まれる中、①現役世代の減少に伴う担い手不足の懸念、②経営の大規模化を通じた生産性の向上を図ること、といった背景を踏まえ、「ユニット数の弾力化」「サテライト型事業所の創設」について議論されてきました。

            関連記事:グループホームのユニット数を「3以下」に検討 サテライト型事業所の具体基準・報酬案も提示(第193回分科会)

            これまでの議論を踏まえ、厚労省はユニット数について、「原則1または2、地域の実情により事業所の効率的運営に必要と認められる場合は3」という現行の基準を「3以下」とする弾力化の改正案を示しました。

            あわせて、複数事業所で人材を有効活用しながら、身近な地域でのサービス提供を可能とする観点から、サテライト型事業所の基準を創設することを提示しました。同基準はサテライト型小規模多機能型居宅介護の基準を参考に定めるとしており、以下のような項目が含まれる見込みです。

            ・本体事務所との兼務等により、代表者、管理者を配置しない

            ・介護支援専門員ではない認知症介護実践者研修を修了した者を計画作成担当として配置できる

            過去の分科会では、特にサテライト型事業所の創設に関して慎重な声もありましたが、本分科会では目立った反対意見は聞かれませんでした。介護報酬改定に向け、上記の方向性が基準となる見込みです。

            介護支援専門員の配置、1事業所ごとに1人以上へ緩和

            グループホームの計画作成担当者について、現在ユニットごとに1人以上配置されることとなっています。しかし、約6割の事務所が介護支援専門員の採用に苦慮していることや、複数ユニットの兼務の必要性を感じている背景を踏まえ、計画作成担当者の配置要件の緩和についても検討されてきました。

            関連記事:グループホームのユニット数を「3以下」に検討 サテライト型事業所の具体基準・報酬案も提示(第193回分科会)

            緩和の方向性に専門家からも賛同が得られたことを受け、厚労省は人材の有効活用を図る観点から、介護支援専門員である計画作成担当者の配置について、「ユニットごとに1名以上の配置」から「事業所ごとに1名以上の配置」に緩和する改正案を提示。本分科会でも反対意見は聞かれませんでした。

            無資格者は認知症介護基礎研修の受講が必須に、e-ラーニングでの受講も検討

            介護に関わるすべての人の認知症対応力を向上させていくことを目的とし、医療・福祉関係の資格を有さない「無資格者」について、認知症介護基礎研修の受講を義務化する改正案が示されました。研修について、全面e-ラーニング化し、オンラインでの受講を可能とする環境整備についても検討されています。

            全国老人クラブ連合会の正立斉氏は、基礎研修受講の義務化に賛成の立場を表明したうえで、「対面型の研修であれば演習において双方向の学習効果が期待できるが、e-ラーニングではどう対応するのか」と、全面e-ラーニング化での受講における学習効果の担保について疑問を呈しました。

            これに対し、厚労省は「全員に受けてもらうという手間の部分と、実効性をどう確保していくのかという両面をにらみながら、意味のある研修を受けてもらうためにカリキュラムを見直していく」と回答しています。受講の義務化については、3年間の経過措置期間が設けられる方針です。

            夜勤職員体制の緩和案は決定持ち越し

            本分科会にて提示された運営基準に関する改正案は、概ね決定方向にて取りまとめられる見込みです。一方、グループホームの夜勤職員体制において、一定の基準を満たす場合に「1ユニット1夜勤以下」の人員配置へ緩和する案が示されましたが、多くの委員から強い反対意見があがりました。これを受け、田中滋分科会長の判断によって、夜勤体制の緩和案は取りまとめが持ち越しとなりました。

            関連記事:ユニット定員拡大・グループホーム夜勤人員基準の緩和案に賛否両論、取りまとめが持ち越しに(第195回分科会)

            本検討案の取り扱いについては、田中分科会長と事務局とでさらに相談を重ねるとしています。12月の取りまとめに向け、引き続き今後の動向をチェックしておきましょう。

            引用:第193回社保審・介護給付費分科会「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の報酬・基準について」、第194回社保審・介護給付費分科会「地域包括ケアシステムの推進」より

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