社会保障審議会・介護給付費分科会は1月12日、10月の臨時介護報酬改定によって介護職員らの処遇改善を継続するための議論を始めました。厚生労働省は更なる処遇改善を図るための加算を創設する方針を示しています。その要件や対象、申請手順などは介護職員処遇改善支援補助金の仕組みを引き継ぐことを提案しました。
政府の方針に沿い、介護職員や事業所が対象とする職員の2月から9月まで賃上げを手当てする「介護職員処遇改善支援補助金」による処遇改善効果を維持するため、2022年10月には臨時で介護報酬改定が行われることが決まっています。
この10月からの対応について厚労省は、
・介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)のいずれかを取得していることを算定要件とする ・賃金改善額の3分の2以上は、基本給か毎月支払う手当の引き上げによるものとする ・事業所の裁量でほかの職員の処遇改善に加算による収入を充てることができる ・加算額については、対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な加算率を設定し、各事業所の介護報酬にその加算率を乗じて単位数を算出する ・申請の際は、都道府県等に介護職員・その他職員の月額の賃金改善額(総額)を記載した計画書を、賃金改善期間終了後は対象とする職員全体の改善額を報告する
といった介護職員処遇改善支援補助金の基本的な枠組みを踏襲した加算を創設することを提案しました。
新たな加算でも同補助金の枠組みを踏襲する理由について、厚労省は、補助金と報酬改定による手当は同じ目的で実施される政策であり、年度途中に要件等を変えることで新たな事務負担の発生を防ぐためなどと説明しています。
なお、申請は22年8月に受付を開始し、各事業所への支払いは12月から実施するものとしています。
【画像】第206回社会保障審議会・介護給付費分科会(2022年1月12日開催・以下同様)資料より
厚労省は12日の介護給付費分科会で、臨時改定によって創設する新加算の加算率についても案を示しました。
支給額は、現行の介護職員処遇改善加算等の単位数同様、基本報酬に処遇改善加算と特定処遇改善加算以外の加算・減算を加えた単位数に加算率をかけて算出されます。この点は、事業所が算定する総報酬に加算率をかけて支給額を算定する補助金と少し異なっています。
また、加算率そのものも補助金と加算の間に若干違いがあります。厚労省は加算率の算出にあたって、1人当たり平均月額9,000円分の賃上げを実施することを想定しているという点では変わらないという趣旨の説明をしています。
1月12日の介護給付費分科会では、多くの委員から加算の創設や補助金の支給後、その効果検証を求める意見がありました。
また、各委員からの質問や要望に応える形で、事務負担や手続きについて厚労省側が以下の通り示しています。
・実績報告は今回の新たな要件である、「補助額の3分の2が介護職員等のベースアップ等の引上げ」に使われていることが確認できる様式とする
・職員への配分ルールについては、現段階では職種などに規定を設けることを想定していない
なお、後者の職員への配分ルールに関しては、濵田和則委員(一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長)が、補助金の対象外となったサービス事業所と処遇改善の対象事業所・施設と併設等(同一法人内や同一敷地内、同一建物内等)で運営を行っている場合について、事業所の裁量で柔軟な配分ができるよう、検討を求めています。
このほかには、2月に迫る介護職員処遇改善支援補助金に関する事業所での対応についても一部委員が言及しました。
まず、小林司委員(連合総合政策推進局生活福祉局局長)は、実施要綱の速やかな発出と交付時期の前倒しなどを厚労省に求めました。
また、神奈川県の水町友治参考人は、事業所が都道府県に対して賃上げの開始を報告することになっている様式について、「2月または3月に提出を求める明確な理由がないのであれば、4月に提出する計画書に添付する扱いとする」ことなどを要望しました。
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