訪問看護ステーションの教育プログラムと研修計画の作り方 ~具体的な内容の考え方

2023.03.17
ホーム ニュース 専門家コラム 訪問看護ステーションの教育プログラムと研修計画の作り方 ~具体的な内容の考え方

前回から、「訪問看護ステーションにおける年間教育プログラムと研修計画の立て方」をテーマにお伝えしています。

事業所として望ましい人材を育成するための考え方に続き、今回は具体的な教育・研修内容や方法を考える手順について取り上げます。研修計画の立案、評価などの運用の参考になる資料も添付していますので、ぜひ最後までご覧ください。

教育・研修内容を決める前提として取り組んでおくべきこと

➀事業所が求める人物像を明確にする:望ましい行動や態度の具体化と位置付け

前回、スタッフ教育を考えるうえで大切なことの一つに「自分たち(会社、事業所)がどんな人物を求めているのかを明確にすること」があるとお伝えしました。

これを具体的な態度や行動に分解すると、例えば

・しっかりと挨拶ができる
・報連相が出来る
・自発的に行動できる

などが考えられます。

研修や教育の内容を考える上ではこのように事業所として望ましいと考える行動や態度を整理し、このような行動ができる人材を育てるために

・事業所内でのルールとして規定すべきか
・教える機会を作って考え方を身に付けていってもらうか

を区別しながら明確にしていきます。

まずは箇条書きでも良いので書き出していきましょう。

その際には抽象的な内容ではなく、できるだけ具体的に書き出してみて下さい。

また理想とする人物像が出てこない場合は、「こんな従業員は嫌だ」、「会社で働いて欲しくない」、という人物像を書き出して、その逆を考えてみてください。求めている人物像に近づけると思います。

②今の事業所の状態を把握する:まずは安全な訪問看護から

研修や教育の内容を具体化していく過程では事業所の状態を分析することも重要です。

・何ができていて、できていないか
・事業所の課題や成長させていきたいポイントはどんなところか

上記の2点をしっかり把握していきましょう。

もし、何をしていいか分からない場合は

・スタッフに関して普段から困っている事は何か
・安全に訪問看護ができているか

の2点を考えていきましょう。

安全な訪問看護が実施できる体制が基盤としてあって、その先に専門性や特化する能力の育成があります。

まずは安全な訪問看護の実現を優先し、その前提として安全な訪問看護とは何かをしっかり押さえておきましょう!

安全な訪問看護とは

では、「安全な訪問看護」とは何を指すのでしょうか。私は、以下2点に定義できると考えています。

1)リスクマネジメントの考え方を理解し、行動に移せていること
2)ご利用者様の状態を包括的に捉えながら しっかりとアセスメント、看護計画立案、実施、評価、見直しが出来ていること

これを詳述すると、以下のようになります。

➂緊急で重要な内容とはなにかを整理

訪問看護ステーションでは、運営基準を満たすために年間計画に沿って研修を実施する必要があります。ここでいう研修には、

1)1年に1度は必ずしなくてはいけない研修(運営指導で確認されます)
2)事業所に任されている研修

があります。まずこのことを押さえておきましょう!

1) 1年に1度は必ずしなくてはいけない研修

1年に1回は必ずしなくてはいけない研修とはⅰ~ⅴの内容です。

上記の内容を1カ月に1度実施すると、5カ月分の研修プログラムになります。

ⅰ~ⅴの内容を『知識習得(座学)をベースとしたもの』と『ワークなどの実践形式のもの』といった2回に分ければ10カ月分の研修内容が出来上がります。

2)事業所に任されている研修とは

ⅰ~ⅲの内容は研修の例になります。

教育・研修方法を決めるうえで取り組んでおくべきこと

事業所内にいる研修を実施できる人の人数を把握する

どんな内容を、誰に教育していくかを考えるのと同様、誰がどんな内容を教育出来るのかを把握しておくことも大切です。

その上で研修プログラム作成を着手する方法としては、以下のポイントが挙げられます。

・管理者しか実施できない、時間が捻出できない等であれば1-3カ月ごとに研修を組み、時間が確保できるようになれば、やりたかった研修メニューを増やしていく。

・研修を実施できる人数が少ない時は外部研修や他事業所と共同で研修会を行う。

研修手段について決める(対面、オンライン会議システム、℮ラーニング)

対面で実施できればベストですが、感染症の流行期など事業所で会えない状態、あるいは他事業所との協働研修などは積極的にウェブ会議システムを活用してみるのも一つの手段です。

ポイントとしては、以下が挙げられます。

・ウェブ会議システムを使う際は録画機能を活用する。それによって自社内でeラーニングコンテンツができる

・外部のeラーニング教材を活用して研修の内容に組み込む

研修内容を評価し、見直しを測る

研修はやりっぱなしではなく、実施内容を振り返り、良かった点や改善ポイント、次にすることは何かをしっかりと評価していきましょう。また、内容の評価と実地指導対策のために研修の報告書はスタッフに必ず出してもらいましょう。

ここで評価した内容は

・研修内容
・研修頻度
・講師
・教育サポート体制

など全体に反映させます。

研修計画を立てるための参考資料

神奈川県訪問看護ステーション協議会の新任訪問看護師育成プログラムの内容を紹介させて頂きます。スタッフ教育の方向性、研修計画の立案、評価などの運用にも役立つ内容になっています。

新人教育のゴールと内容(参考)

資料のダウンロード先

①個人目標シート

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1ofteMMN8QRf4Bg7rglu2X6e4843iDYqB/edit?usp=sharing&ouid=105436738912328859793&rtpof=true&sd=true

②入職1年目評価シート

https://docs.google.com/spreadsheets/d/15KY8nLOhsTlKftqF2ocBY5KghAAhCEvo/edit?usp=sharing&ouid=105436738912328859793&rtpof=true&sd=true

③新人育成プログラム 指導者版資料

https://drive.google.com/file/d/1Av1o_7W3_VVwwdIBcbsjyymghmnsV9nB/view?usp=sharing

④新人育成プログラム スタッフ版資料

https://drive.google.com/file/d/1s1qWZhadLbV2Sw3LgokErgJVHVWVvtKj/view?usp=sharing

⑤技術チェックリスト

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1FzTQHmwhUQfycpNESgKmqJJDpUhMn8BQ/edit?usp=sharing&ouid=105436738912328859793&rtpof=true&sd=true

さいごに:研修のPDCAサイクルを回すためのポイント

研修の内容が決まったら、以下の事を決めておくと見直しがしやすくなります。

・研修や面談実施時に次回の日程を決めておく
・研修内容やスタッフの研修報告書などは サポートするスタッフが進捗状況を確認できるように皆が見ることができる場所に置いておく。
・研修実施者と教育責任者の打ち合わせをできれば毎月行い、実施側と方針を考えている側の認識をすり合わせておく。

まずは出来る事から進めていきましょう!

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