2024年度の介護報酬改定では、特定施設入居者生活介護の基本報酬は引き上げられます(※リンク先:厚生労働省の2024年度介護報酬改定特設ページ)。
引き上げ幅は特定施設入居者生活介護で1〜6単位、地域密着型で4〜7単位で要介護度によってわずかに傾斜配分されています。
新設加算としては入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する「退所時情報提供加算」や、必要な対策や医療機関との連携体制を確保した上で感染症に感染した高齢者を施設内で療養を行うことを評価する「新興感染症等施設療養費」など、5種類があります。
なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、特定施設入居者生活介護の改定実施時期は4月1日です。
2024年度介護報酬改定で、特定施設入居者生活介護の基本報酬は1〜7単位で引き上げとなります。 改定前後の基本報酬を比較すると以下の通りです。
※すべて1日あたり
(現行)
(改正後)
(【表】「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第86号)を基に作成)
介護報酬改定後の算定構造は、以下の資料をご参照ください。
第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省
24年度改定で特定施設入居者生活介護、及び地域密着型特定施設入居者生活介護に新設される加算は、以下の5種類です。
具体的な単位数や要件を以下に概説します。
入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する加算です。
退所時情報提供加算の算定要件
施設内で感染者が発生した場合に、感染者の対応を行う医療機関との連携の上で施設内で感染者の療養を行うことや、他の入居者等への感染拡大を防止することが求められることから、以下を評価する新たな加算が設けられます。
また、感染対策に係る一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることも新たに評価します。
(新設)
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)>
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)>
必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で感染した高齢者を施設内で療養を行うことを評価するための報酬です報酬加算です。
新興感染症等施設療養費の算定要件
(※)現時点において指定されている感染症はない。
現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。
介護職員等処遇改善加算の単位数
介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。
【特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護】
※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。
介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、
こうした取組みを評価する加算です。
生産性向上推進体制加算の算定要件
<生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>
<生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>
(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について
(Ⅰ)において提供を求めるデータは、以下の項目。
ア)利用者のQOL等の変化(WHO-5等) イ)総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化 ウ)年次有給休暇の取得状況の変化 エ)心理的負担等の変化(SRS-18等) オ)機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)
(Ⅱ)において求めるデータは、(Ⅰ)で求めるデータのうち、アからウの項目。 (Ⅰ)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。
(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件
(参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省)
ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護の改定事項は19項目あります。
(【画像】:「令和6年度介護報酬改定における改定事項」より)
※各改定事項の概要についてはリンク先の資料をご確認ください。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。