10月15日に行われた第188回社保審・介護給付費分科会で、短期入所生活介護と短期入所療養介護について議論が行われました。それぞれの論点について見ていきましょう。
短期入所生活介護の配置基準は、介護職員または看護職員について常勤換算方法で3:1の配置となっていて、看護職員の配置は必須ではありません。しかし、併設型かつ定員20人以上の事業所に限り、看護職員を常勤で1人以上配置することが必須となっています。
今回、厚労省から、併設型かつ定員20人以上の事業所についても、他の類型と同様の配置基準としてはどうかという、要件緩和の方向性が示されました。
その理由として、事業所の類型・定員の違いによって、必要とされる医療的ケアがあまり変わらない状況があります。
また、類型別・定員別に医療的ケアの必要な利用者の有無を見ていくと、単独型・20人以上が75.6%、併設型・19人以下が70.1%、併設型・20人以上が63.8%となっています。厚労省は一定数医療的ケアの必要な利用者がいることから、看護職員については、必要に応じて密接で適切な連携により確保してはどうかとの方向性も示しています。
併設型・20人以上に限った看護職員の配置基準は緩和するものの、短期入所生活介護における看護職員との連携を強めるという方針です。
厚労省の示した緩和の方向に異を唱えたのは、日本看護協会の岡島さおり氏。岡島氏は、常勤の看護職員の配置が不要とされている類型でも医療的ニーズに対応している実態があるなか、看護職員の配置基準を緩和することに疑問を呈しました。現場の実態を明らかにしてから検討すべきだと主張しています。
一方、神奈川県知事黒岩氏代理の山本氏は、厚労省の示した論点に賛成の意を示しました。そして、現在は看護体制加算で評価しているが、看護職員の数を確保することを基本として、本来は基本報酬で評価すべきとの考えを示しました。
老健の短期入所療養介護と特養の短期入所生活介護の利用目的を比較すると、共にレスパイトが最多となっています。老健では次いで家族の外出、リハビリとなり、特養では次いで家族の体調不良、他施設入所までの待機となっています。
この利用目的に重なりがあるという結果も踏まえて、厚労省は短期入所療養介護について、基本サービス費の見直しについて議論を求めました。その上で、医療ニーズのある利用者の受け入れを促進し、在宅療養支援機能を推進するために、短期入所療養介護において医師による総合的な医学的管理を評価することを検討してはどうかとの方向性を示しています。
また、厚労省は、短期入所療養介護の緊急短期入所受入加算の算定は、7日が限度となっていますが、短期入所生活介護と合わせて、例外的に14日までを限度に算定できるよう見直すことについても提案しました。
引用:第188回社会保障審議会介護給付費分科会「短期入所生活介護の報酬・基準について」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月20日掲載のものです。
ライター歴8年、介護業界取材歴5年。介護業界の経営者や現場責任者、介護関連施設への取材を重ねてきました。介護業界を支える皆さまの役に立つ情報発信を心がけています。