厚生労働省は2025年度に向け、介護事業者がオンラインで指定申請や加算の届出に関する手続きができるシステムの構築を目指しています。介護保険部会の専門委員会での検討について、直近の状況をレポートします。
社会保障審議会・介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」では、国や自治体と介護事業者がやり取りしている文書(指定申請や報酬請求、指導監査など)周辺の負担軽減策について検討を重ねてきました。
7月21日から集中的な議論が始まったのが、指定や報酬請求に関する手続きをオンラインで完結する電子申請・届出システムについてです。
すでに全国の介護サービス事業所を検索・閲覧できる仕組みとして活用されている介護サービス情報公表システムに指定申請などの機能を拡張する予定で、現在その準備が進められています。
【画像】社会保障審議会介護保険部会・介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 (7月21日開催)資料より
このプロジェクトについては、政府方針(規制改革実施計画、6月閣議決定)で下記のスケジュールが明記されていました。
・全国で電子申請・届出システムを使って指定や報酬請求に関する手続きを完結できるよう25年度までに法改正などを行う。 ※これに伴い、電子申請・届出システムが利用できない自治体名を公表 ・電子申請・届出システムの運用が始まる前の対応として、介護事業者が望めば電子メールなどを使って申請・届出を行えるよう22年度上期のうちに対応を行う。 ・介護事業者の届出のうち、法人関係事項や事業所固有の事項以外のものは、届出手続きのワンストップ化を実現するために25年度までに必要な対応を行うこと。
【画像】第10回社会保障審議会・介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会資料より(赤枠・赤字を編集部で加工)
なお、この電子申請・届出システムの運用は、全国一律に開始するわけではありません。
最も早く運用を開始するのは事前に希望した自治体で、22年度下期ごろからの運用開始を見込んでいます。
厚労省は、これらの先行自治体でのトライアンドエラーを重ねながら、段階的にシステム運用に参加する自治体を増やしていく構想を示しています。
【画像】社会保障審議会介護保険部会・介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 (7月21日開催)資料より(以下同様)
厚労省の調査によると、25年度が始まるまでにシステムの利用を開始したいとの意向を示している自治体は全体の18%ほどとなっています(22年7月時点)。
また、自治体に対する手続きの簡素化や利便性向上に関する取り組みとして、介護事業者が要望を随時提出できる専用の窓口が設けられます。国が定めた統一ルールが地域によって守られていない場合の事業者からの申告などが行われることが想定されていて、ここで受けた要望への対応は、同専門委員会での検討対象にもなります。
【画像】21日の委員会で示された現段階の受付フォーム案
これらのオンラインを活用した手続きの効率化について、同委員会は22年内に意見をとりまとめ、その後、介護保険部会ではその内容を踏まえて次期制度改正に向けた対応の検討を行います。
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