2021年度の介護報酬改定にて、科学的介護情報システム(LIFE)を活用した体制構築を推進する「科学的介護推進体制加算」が新設されました。LIFE関連加算にの基本的な考え方や事務処理手順、様式の詳細を定めた通知も発出されています。「科学的介護推進体制加算」の算定要件や対象サービス、2021年度の猶予期間等、当該加算の導入に向けた必要情報を確認しておきましょう。
2021年3月までは、利用者の状態やサービス内容等の情報を蓄積するデータベースとして、CHASEとVISITの2つが活用されてきました。2021年4月以降はこれらが一本化され、「LIFE(ライフ)」として一体的な運用がスタートします。
「科学的介護推進体制加算」とは、LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用により、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを評価する加算です。
(LIFE関連通知)Vol.931 「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等について
Vol.938 科学的介護情報システム(LIFE) 関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Vol.951 「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等について(その3)
通所介護、通所リハ(※)、認知症対応型通所介護(※)、地域密着型通所介護、特定施設入居者生活介護(※)、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(※)、小規模多機能型居宅介護(※)、看護小規模多機能型居宅介護
※印のあるものは、予防サービスを含む
介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院
科学的介護推進体制加算:40単位
①利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
②必要に応じて計画を見直すなど、サービス提供に当たって、①に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。
・必須項目別紙様式1にある、「評価日」、「前回評価日」、「障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度」、「総論(ADL、在宅復帰の有無等に限る)」、「口腔・栄養」、「認知症(必須項目に限る)」をやむを得ない場合を除きすべて提出すること。(「やむを得ない場合」についてQ&Aあり)
・任意項目別紙様式1にある、「総論(既往歴、服薬情報、同居家族等に限る)」、「認知症(任意項目に限る)」。
厚労省ダウンロード資料:「別紙様式1」科学的介護推進に関する評価(通所・居住サービス)
科学的介護推進体制加算(Ⅰ):40単位/月
科学的介護推進体制加算(Ⅱ):60単位/月(※)
※介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は50単位/月
①入所者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
③加算Ⅰ①に規定する情報に加えて、入所者ごとの疾病の状況等の情報を、厚生労働省に提出していること。
④必要に応じて計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、①に規定する情報、③に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)
・必須項目別紙様式2にある、「評価日」、「前回評価日」、「障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度」、「総論(ADL、在宅復帰の有無等に限る)」、「口腔・栄養」、「認知症(必須項目に限る)」をやむを得ない場合を除きすべて提出すること。(「やむを得ない場合」についてQ&Aあり)
・任意項目別紙様式2にある、「総論(既往歴、服薬情報、同居家族等に限る)」、「認知症(任意項目に限る)」。
厚労省ダウンロード資料:「別紙様式2」科学的介護推進に関する評価(施設サービス)
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)
・必須項目加算Ⅰで必須項目の情報に加えて、「総論(既往歴、服薬情報※、同居家族等に限る)」をやむを得ない場合を除きすべて提出すること。(「やむを得ない場合」についてQ&Aあり)
・任意項目「認知症(任意項目に限る)」
※介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護における加算Ⅱの算定では、「総論(服薬情報)」の提出は必須ではなく任意項目となります。
Q.要件として定められた提出情報に、要件として定められた情報を「やむを得ない場合を除き、すべて提出すること」とされていれるが、「やむを得ない場合」とはどのような場合か。
A.やむを得ない場合とは、例えば、通所サービスの利用者について、情報を提出すべき月において、当該月の中旬に評価を行う予定であったが、緊急で月初に入院することとなり、当該利用者について情報の提出ができなかった場合や、データを入力したにも関わらず、システムトラブル等により提出ができなかった場合等、利用者単位で情報の提出 ができなかった場合がある。
また、提出する情報についても、例えば、全身状態が急速に悪化した入所者について、必須項目である体重等が測定できず、一部の情報しか提出できなかった場合等であっても、事業所・施設の利用者又は入所者全員に当該加算を算定することは可能である。
ただし、情報の提出が困難であった理由について、介護記録等に明記しておく必要がある。
Q. Barthel Index(BI)のデータ提出に際して、老人保健健康増進等事業において一定の読み替え精度について検証されているICFステージングから読み替えたものを提出してもよいか。
A. BIの提出については、通常、BIを評価する場合に相当する読み替え精度が内容の妥当性を含め客観的に検証された指標について、測定者が、①BIに係る研修を受け、②BIへの読み替え規則を理解し、③読み替え精度等を踏まえ、必要に応じて、読み替えの際に、正確なBIを別途評価する、等の対応を行い提出することが必要である。
Vol.952 「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.3(令和3年3月26日)」の送付について
Q.LIFEに提出すべき情報は「 科学的介護情報システム(LIFE )関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 」(令和3年3月16日老老発0316第4号)の様式例において示されているが、 利用者又は入所者の評価等に当たっては、当該様式例を必ず用いる必要があるのか。
A.同通知はあくまでもLIFEへの提出項目をお示ししたものであり、利用者又は入所者の評価等において該当加算における様式と同一のものを用いることを求めるものではない。
Vol.965 「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A Vol. 5(令和3年4月9日)」の送付について
利用者ごとに、下記の①~④に定める月の「翌月10日まで」に提出します。
①加算の算定を開始する月にすでにサービスを利用している、既利用者の場合は、算定を開始しようとする月②加算の算定を開始する月の翌月以降にサービスの利用を開始した、新規利用者の場合は、サービスの利用開始した日の属する月③ ①または②の月のほかに、少なくとも6月ごと④サービスの利用終了日の属する月
なお、①~④の情報を提出すべき月について、情報の提出を行えない事実が生じた場合は届出が必要です。この場合、該当期間における利用者全員について本加算の算定ができなくなります。
4月23日発出の介護保険最新情報Vol.973で、2021年4月~6月サービス提供分の加算算定については、一定の条件の場合、LIFEへのデータ提出期限を2021年8月10日まで猶予することを通知しました。
一定の条件とは以下の場合です。
・4月にLIFEに関連する加算を算定できるように、当初の期限までに新規利用申請をしたにも関わらず、新規利用申請に係るはがきの発送が遅延している場合
・4月にLIFEに関連する加算を算定できるよう、LIFEの操作マニュアル等のwebサイトを確認し、LIFEの導入等について、ヘルプデスクへの問い合わせを行っている場合であって、回答がないまたは解決に至らないことにより、期限までにデータ提出が間に合わない場合
関連記事:LIFEへのデータ提出が8月まで猶予される条件は? 4月~6月サービス提供分が対象
提出情報は、利用者ごとに以下の時点における情報を提出します。
①既利用者の場合は、算定開始時における情報②新規利用者の場合は、利用開始時における情報③少なくとも6月ごとの提出の場合は、前回提出時以降の情報④サービス利用が修了した利用者の場合は、利用修了時における情報
2021年度においては、介護保険最新情報Vol.973の特例的な猶予期間とは別に、LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要する等の事情のある事業所・施設について、提出頻度の規定にかかわらず、一定の経過措置を設けられます。具体的には下記の内容です。
・2021年4月から同年9月末日までに本加算の算定を開始する場合は、算定を開始しようとする月の5月後の月の翌月10日までに提出することを可能とする
・2021年10月から2022年2月末日までの間に本加算の算定を開始する場合は、2022年3月の翌月10日までに提出することを可能とする
猶予期間の適用を受けたうえでの加算算定には、猶予期間の適用を必要とする理由、提出予定時期等を盛り込んだ「計画」の策定が必要です。「計画」は、指定権者に届出が必要なものではありませんが、指定賢者から求められた場合には、速やかに提出する必要があります。
厚労省は本加算の算定において、利用者に提供するサービスの質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルによって、質の高いサービスを実施する体制を構築することが重要と明記しています。
つまり、LIFEを用いて利用者の必要情報を提出するだけでは、本加算の算定対象とはなりません。すべての利用者に対して「サービス計画」を作成し、計画に基づいたより質の高いサービス提供体制の構築に努めることが求められます。
具体的な取り組み内容は、以下の通りです。
・利用者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための「サービス計画」を作成する(Plan)
・サービスの提供に当たっては、「サービス計画」に基づいて、利用者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)
・LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、事業所の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)
・検証結果に基づき、利用者の「サービス計画」を適切に見直し、事業所全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。