訪問看護の24時間対応体制加算の要件緩和とBCP義務化を検討

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2022年度診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)で検討が進んでいます。11月26日は、有事に備えた訪問看護の提供体制を整備していくため、「24時間対応体制加算」や「事業継続計画(BCP)」の在り方について議論されました。

*関連記事: 訪問看護ステーションによるICT死亡診断支援と退院当日の評価が焦点に

24時間対応体制加算の要件緩和が訪問看護の有事対応策として浮上

厚生労働省は同日の中医協で、改定を巡る検討の新たな切り口として、有事における訪問看護の提供体制構築について意見を促しました。検討のたたき台として、24時間対応加算(常時連絡や相談に対応する体制を整備することなどで算定できる加算)の算定状況や、コロナ禍における連絡体制の整備状況が示されています。

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【画像】中央社会保険医療協議会 総会(第500回)資料より

示された資料(上)によると、24時間対応体制加算を届け出ている訪問看護ステーションの割合は88.3%に上りますが、ステーションの規模が小さくなるにつれて届出の割合が少なくなっています。

なお、24時間対応体制加算は、離島や山間部などの特別地域では、2つの訪問看護ステーションが連携して体制を整えることによって、算定要件を満たすものと認められています。
2020年度の診療報酬改定では、医療資源が少ない地域も同加算の算定可能地域に加えるという緩和策が採用されていました。

今回は、22年度改定でさらに加算対象を広げることで、事業所間が積極的に連携して24時間対応体制を確保するよう促すことが検討されました。

24時間対応体制加算の要件緩和に対する委員からの意見

厚労省の投げかけに対し、委員からは主に下記のような意見がありました。

「平時からの訪問看護ステーション同士の連携をしていくということは大切だが、地域によっては訪問看護ステーションの数が少なく、ステーション同士で連携しても緊急時に対応しきれないという場合も考えられる。医療機関からの訪問看護やバックベッドの確保なども含めた連携の在り方を考えてもよいのではないか」(日本医師会の城守国斗常任理事)

「複数のステーションが連携して対応できる体制であれば、評価しても良いのではないか。
ただし、せっかく24時間対応体制加算の届出を単独で実施できている事業所が、複数連携による評価に変更するといった状況が起きる可能性があり、そういったことが起きないように段階的な評価にするなど、何らかの対応が必要ではないか」(連合の佐保昌一総合政策推進局長)

「要件緩和については、少し慎重にならざるを得ない。患者や家族の緊急の求めに自ら応じられないステーションに、24時間とわざわざ銘打っている加算(の算定)を、要件を緩和することによって認めることに関しては、若干の疑問を感じる。患者の立場からすると、24時間対応を希望する場合は、体制の整ったステーションを選ぶというのが現実的ではないか」(健康保険組合連合会の松本真人理事)

また、関連事項について発言が認められる”専門委員”として参加した日本看護協会の吉川久美子常任理事は、小規模な訪問看護ステーションが多数存在していること、このようなステーションが連携体制を構築することの重要性を訴え、その評価を求めました。

介護報酬改定に続き診療報酬改定でもBCP策定義務化の流れ

BCPの策定については、2021年度介護報酬改定で既に、訪問看護事業所を含めた全ての介護保険サービス事業所に対してBCPの策定や研修の実施等が義務付けられています(2024年3月末まで経過措置期間)。

この点について発言した委員は全員、診療報酬改定でも訪問看護ステーションにBCPの策定の義務を課すことを賛同、あるいは容認しています。

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