2024年度介護報酬改定の気になる論点に、介護職員のさらなる処遇改善があります。5月の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2024年に迫る介護・医療同時改定に向けた議論がスタートし、人材の確保を目的とした職員のさらなる処遇改善に関する意見が多くあがりました。
24年度の介護報酬改定でも、人材確保に関する施策は中心的なテーマに位置付けられています。生産性の向上という文脈とセットで、処遇改善関連加算の一本化についても検討される見通しです。
改定に向けた実質的なキックオフの回となった5月24日の社保審・介護給付費分科会でも様々な意見がありました。中でも多数の声が聞かれた「処遇改善」について焦点を当て、ご紹介します。
人材確保に向けた「処遇改善」に関する今後の見通しと、専門家からあがった意見をまとめて整理します。主な意見・要望は以下の3つに分かれます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
2022年度の臨時介護報酬改定で「介護職員等ベースアップ等支援加算」が新設され、処遇改善に関する加算は「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」との3本立てになっています。
【画像】厚生労働省「第217回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1」より
これに対し、現場職員や業界団体などからは事務負担が大きく分かりにくいとの声があがっています。寺原朋裕参考人(全国知事会)は現場の事務負担だけでなく自治体による審査にも時間を要している現状に触れ、「加算額の更なる充実とともに、制度の簡素化による事務負担の軽減についても検討を」との意見を示しました。
介護業界の「人材確保」に関する課題に触れ、さらなる処遇改善策の検討を求める意見も続出しました。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。