2021年度介護報酬改定に向けて、全22回に渡り議論されてきた介護給付費分科会。その審議報告が、2020年12月23日に厚労省のホームページで公表されました。本記事では【訪問介護】に関する「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」の内容について、加算や報酬に関わる詳細部分をまとめて整理していきます。
令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(厚労省ホームページ)
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看取り期の訪問介護については、頻回な訪問が必要になるなど、柔軟な対応が求められます。こうした状況を踏まえ、看取り期における対応の充実と適切な評価を図る観点から、看取り期の訪問介護に係る「2時間ルール」の弾力化を認めることが明記されました。
・2時間ルール…前回提供した訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合には、2回分の介護報酬を算定するのではなく、それぞれのサービス提供に係る所要時間を合算して報酬を算定すること
この結果、2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合に、所要時間を合算せず、それぞれの訪問に対して所定単位数の算定が可能となります。
訪問介護における特定事業所加算について、事業所を適切に評価する観点から、「勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする新たな区分を設ける」見直しが実施されます。
これは、訪問介護以外のサービスにおける類似の加算であるサービス提供体制強化加算の見直しも踏まえたものであり、介護福祉士の割合が高い事業所や、職員の勤続年数が長い事業所をより高く評価する検討案が反映されました。
介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである「職場環境等要件」について、介護事業者による職場環境改善の取り組みをより実効性が高いものとする観点から、以下の見直しが実施されます。
①職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直しを行う。
・ 職員の新規採用や定着促進に資する取組
・ 職員のキャリアアップに資する取組
・ 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
・ 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
・ 生産性の向上につながる取組
・ 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、
職員の勤務継続に資する取組
②職場環境等要件に基づく取組の実施について、過去ではなく、当該年度における取組の実施を求める。
また、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて廃止へ。その際に、2021年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業所については、1年の経過措置期間が設けられます。
事務局からは、「介護職員処遇改善加算取得促進事業」において、上位区分への引き上げを強力に進める予定という発言もありました。
スキル・経験のある職員の処遇改善を目的とした介護職員等特定処遇改善加算について、「リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行う」といった趣旨は維持した上で、小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の見直しが行われます。
・平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」とするルールについて、「より高くすること」とする。
つまり、「2倍以上」という制限がなくなり、より柔軟な配分が可能となります。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。