団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降の地域包括ケアを支えるために、訪問看護ステーションの重要性はますます高まっています。
このような状況に対応するために看護業界団体は訪問看護事業所数の増加・機能拡大を推進していますが、今のところニーズの増加に対応できるだけの訪問看護事業数にはなっていません。
例えば、全国訪問看護事業協会が2021年に行った『令和3年度 訪問看護ステーション数 調査結果』によれば、令和2年度の訪問看護ステーションの新規届出数は1,633件ですが、廃止数が541件となっています。ニーズはあるのに上手くいかない事業所が多いのはなぜでしょうか。どうすれば今後ますますニーズ増加の見込まれる訪問看護事業を円滑に経営できるのでしょうか。
そのためには、経験や勘に頼ったマネジメントではなくケアの現場と同様に、根拠に基づいた訪問看護のマネジメントを行うことができる経営者・管理者の存在が重要になります。
本連載では、訪問看護ステーション経営で起きる様々な問題の解決に、エビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(※1)の観点から役立つ知見をご紹介していきます。
第1回目の今回は、訪問看護ステーションで良く起こるスタッフ間の仲違いや雰囲気の悪さの解決のために、管理者(あるいは経営者)として何ができるかについて取り上げます。このような時に役立つステーションの状態を診断するツールである『GRPI(グリッピィ)モデル』をご紹介いたします。
(つるがやまさこ)合同会社manabico代表。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修等の仕組みづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。 【合同会社manabico HP】https://manabico.com※プロフィールは記事配信当時の情報です