厚生労働省は3月に入り、介護保険の給付対象となる福祉用具の新たな種目・種類の取り入れや拡充について話し合う検討会を開催しました。新たに保険給付の対象とするよう提案されていた衝撃吸収マット(床材)や認知機能測定・訓練機器などの4品目が否決された一方で、シャワーアームが付属したタイプの入浴用補助椅子が給付対象への追加に向けて継続審議されます。
厚労省の介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会は、主に介護保険の給付対象となる福祉用具・住宅改修の新たな種目・種類の追加や拡充について、その妥当性などを評価する場です。
なお、福祉用具を巡る動きとしては、現行制度上の貸与原則の在り方などの見直しを検討するための場も別途立ち上げられています。
給付対象の追加品目として認められるため、受付期間(2020年11月1日〜2021年10月31日)内に申請があり、今回の検討会での評価・検討となった品目は以下4種目です。
馬乗り型電動車いす 衝撃吸収マット 誤嚥予防椅子 認知機能測定・訓練機器
【参考画像】馬乗り型電動車いす 「ロデム」のイメージ(株式会社テムザックプレスリリースより)
【参考画像】衝撃吸収マット 「ころやわ」のイメージ(株式会社Magic Shieldsのプレスリリースより)
このなかには、参考画像の例のように介護者の負担軽減などの観点からすでに広く注目を集めている品目もありますが、いずれも福祉用具の評価項目として現在定められている7つの要件(1.「要介護者等の自立の促進又は介助者の負担の軽減を図るもの」、2.「要介護者等でない者も使用する一般の生活用品でなく、介護のために新たな価値付けを有するもの」3.「治療用等医療の観点から使用するものではなく、日常生活の場面で使用するもの」、4.「在宅で使用するもの」、5.「起居や移動等の基本動作の支援を目的とするものであり、身体の一部の欠損又は低下した特定の機能を補完することを主たる目的とするものではないもの」、6.「ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が図られるもの」、7.「取り付けに住宅改修工事を伴わず、賃貸住宅の居住者でも一般的に利用に支障のないもの」であるかを総合的に評価)から評価した結果、保険の給付対象への追加はすべて否決されました。
一方で、保険給付の対象に新たに加えるかどうか前回の会合から評価・検討が持ち越されている品目もあります。
それがシャワーアームが付属したタイプの入浴用補助椅子で、浴槽につかるのが困難な利用者に対して入浴の代替手段として評価を申請されていました。
これまで、特定福祉用具購入の対象(※告示事項)となっている「簡易浴槽」の定義の中に、このタイプの入浴用補助椅子も追加するかどうか審議が続けられてきました。
今回、給付対象の追加品目として認めるよう期待を表明する委員も複数いましたが、結論は引き続き持ち越されています。検討会として、メーカーにさらに客観的なデータの収集・提出などを求めていくことになりました。
4月から新たに特定福祉用具販売の種目として加わることが決まっている排泄予測支援機器については、厚労省の担当官から改正告示や関係通知の準備が進められていることが報告されました。
【画像】第2回介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会(3月2日開催)資料より
これまで給付対象としてこられた福祉用具と異なる電子機器であり、利用者への説明等がより一層必要であることなどから、販売後の動向やフォロー体制についても着目されることになります。
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