訪問看護ステーションの事業環境分析入門(1) ~SWOT分析~

2022.02.03
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「経営できる看護師を増やす」をミッションとして、訪問看護事業所のコンサルティングや教育事業、経営に関わっております出口貴大です。 今回から、自分たちの強みや課題を分析する ツール・手法について、分析の事例を交えながら取り上げていきます。

1.進む事業環境の変化

はじめに質問です。
皆さんは、会社や事業を取り巻く環境について、変化を感じているでしょうか?
そして、その変化がどのように起きているのか、その構造を説明する事ができますか?

このようにご自身に問いかけてみたとき 、以下でお示しした「語りがちなこと」 に当てはまっていませんか?

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また現在は、VUCA*の時代と言われるように 、今まで予測できていたことや当たり前だった前提が崩れ、将来を見通したり現実で起きている事を見極めたりしていく事が難しくなってきました。

*VUCA とは、複雑さを増した社会情勢にある現代の予測不可能な環境を指すビジネス用語で、以下の要素の頭文字をとったものです。

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さらに、訪問看護経営者や管理者には、

・返信をしなくてはならないメールの数々
・営業目標達成のための活動
・数々の打ち合わせ
・スタッフへの教育や 面談、相談対応

などのさまざまな仕事が日々押し寄せてきます。

日々の業務に追われてそれに終始していると、 事業所の状況を正しく捉えることは困難です。

そのために物事を正しく見ていく視野矯正レンズの役割を果たしてくれるフレームワークが重要となるのです。

フレームワークをうまく使う事で以下の事が出来るようになります!

・普段は見えにくいものを見ることが出来る
・複雑なものをシンプルに捉えることが出来る

今回は事業所を取り巻く外部環境・内部環境を同時に分析する事が出来る"SWOT分析"を紹介していきます。

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2.SWOT分析とは

ここでは、SWOT分析について以下の4点をお伝えしていきます。

1)SWOT分析とは?
2)SWOT分析の利点は?
3)陥りがちなポイントは何か?
4)実際にどのように分析していくのか?

1)SWOT分析とは?

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上の図に示したように、

SWOT分析とは、強み /Strength(S)、弱み/ Weakness(W)、機会/ Opportunity(O)、脅威/ Threat(T)の頭文字から取ったフレームワークです。

事業を取り巻く環境について、組織の内部・ 外部のプラス面とマイナス面を分析し、経営資源を最適化していくために用いられます。

2)SWOT分析の利点は?

SWOT分析のフレームワークを活用することで、人や機会を無駄にせずに活用し、最大の利益を生むにはどうすべきかを考える事ができます。

また以下の事ができるようになるとも言われています。

・持っているものを利用して、持っているもの以上の成果を生み出す
・将来訪れるであろう好機を逃さずにとらえて成果に結びつける
・将来訪れるであろうリスクを予測し、先に防御して手を打つ

3)陥りがちなポイントは何か?

SWOT分析はシンプルなフレームワークである分、効果的な分析を行うにはコツが要ります。
例えば、分析する環境を文字に落とし込んでいく際、以下のような状態に陥りがちです。

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この中でも一番大切なのが4番目の、SWOT分析は『あくまでも思考を整理するツールであり、これで完結するものではない』ということです!

SWOT分析は 答えを導き出したり課題を解決したりするものではなく、あくまでも物事を正確に判断し見極めていくための視野矯正レンズです。 SWOT分析で整理できた内容を具体的な計画に落としこみ、 行動に起こしていく事が重要です。

4)実際にどのように分析していくのか?

・分析するための大切にしたい 「比較対象の明確化」

事業所を取り巻くどのような課題にフォーカスすべきか、そのためにどういった資源が使えるのか、どういった順番で取り組んでいくかを検討していくためにSWOT分析を活用していきます。

分析をするときに大切な考え方はSWOT分析の項目「強み」、「弱み」、「機会」、「脅威」はそれぞれ、ある特定の目的に対して有効に働く要素であると捉えるという事です。

つまり何に対して強みとなるのか、何に対して弱みとなるのかの比較対象がないと優劣が付かないのです。

『〇〇地域で地域に密着した事業所になるためには』
『〇〇地域で医療に特化した事業所になるためには』

といった目的・目標を決めておくことで、

その目的・目標を評価軸にした際に、自分たちの事業所が他の事業所よりも強い部分は何なのか、どういった機会があるのか、という事が浮き彫りになってくるのです。

中々言葉が出てこない時は分析の対象を職種ごと、店舗ごと、お客様ごとなどに分けて考えてみるとよいでしょう 。

・SWOT分析の手順

ここからは実際にどうやって環境分析を進めるか、事例を活用しながら進めていきます。
皆様もお手元にペンとノートを出し、 実際に書き出して頂けたらと思います。

①自分のステーションの「強み」、「弱み」を書きだす
以下の内容を参考に『現在の状況を起点に』書き出していって下さい。

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② 外部環境ついて「機会」と「脅威」を書き出す
以下の内容を参考に『これから起きると予測される未来』について書き出してください

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③参考事例

私が過去に分析した事業所の例を2例挙げます。
どういう内容を書けばいいのかイメージする参考にして下さい。

事例1)居宅併設型の訪問看護ステーションでリハ特化型として運営してきたが 、近年の介護報酬改定の動向から今後は看護に力を入れていきたいと考えている。

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例2)小児特化型で子育てをしながら働いている看護師が多い事業所。若いスタッフが多く研修体制や看護の質をこれから引き上げていきたいと考えている。

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3.最後に

SWOT分析は一度行って終わりではありません。経営状況や外部・内部環境は常に変わっていくため、何度も加筆修正を重ねることが重要です。

完璧な物でなく粗削りでもOKなので、まずは今、気になっていたり頭を悩ませたりしている課題を起点に書き出し、分析やディスカッションを重ねて精度を上げていきましょう!

次回は、SWOT分析 の結果を具体的なアクションプランにしていくためのフレームワークとして、 クロス分析の手法を紹介していきます。

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