現在、人材不足への対応などを目的として、外国人介護人材に関する規制緩和について検討が進んでいるところです。 今夏から開催されている「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」では、EPA介護福祉士候補者および技能実習生を就労直後から人員配置基準に算入する規制緩和案の是非について意見が交わされてきました。
主要な論点のうち、訪問系サービスで技能実習生らの従事を認めるかどうかについてはまだ時間をかけて検討が行われるようです。一方、EPA介護福祉士候補者と技能実習生に関する人員配置基準上の扱いについては、年内に方向性が決まる見通しです。
本検討会は、外国人介護人材の受入れに関する規制緩和について、社会保障審議会・介護給付費分科会を補完する形で検討を進めています。
第1回(7月開催)は以下について検討が行われていました。
そして第2回検討会(10月開催)は3つ目の「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱い」を議題とし、EPA介護福祉士候補者と技能実習生を、就労開始直後から人員配置基準に算入するという規制緩和について集中的に話し合いが行われました。
なお、同様のテーマが社保審・介護給付費分科会でも取り上げられています(9月8日)。
EPA介護福祉士候補者と技能実習生は、人員配置基準上、「日本語能力試験N2を取得している者」か「就労開始後6ヵ月を経過した者」が算定できます。
現在、この規定について、就労開始直後から人員配置基準に算入する方向で検討が進んでいます。
(【画像】第2回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会資料より(以下同様)
本検討の場においては、EPA介護福祉士候補者と技能実習生を含む外国人介護人材の受入施設・事業所向け意見などが共有されています。基準緩和をポジティブに捉える回答は、EPA介護福祉士候補者で約76%、技能実習生で約80%と、8割に迫る事業者が前向きな回答を示しています。
これらを受け、慎重な検討を求める声も一部ありますが、方針自体には賛成が目立ちます。ただし賛成派の中でも、どういった条件や基準のもとで算入していくべきかという点では、意見が分かれています。
斎藤正行構成員(全国介護事業者連盟)は「事業者団体の立場とすれば、特定技能を含めた整合性を取っていくということで、即日配置要件に加える対応をぜひとも取っていただきたい」と言及。加えて、給付費分科会等であがっている「事業所の裁量に委ねる」という意見に対し「基本的には即日対応ができることを前提とした中で、事業者が個々に対応・判断できる形にしてほしい」と要望を述べました。近藤篤構成員(民間介護事業推進委員会)や富家隆樹構成員(日本慢性期医療協会)らも即時算定に賛同する意見を提示しています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。