EPA介護福祉士候補者と技能実習生の人員配置即日算入について年内にとりまとめ:厚労省

2023.11.29
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現在、人材不足への対応などを目的として、外国人介護人材に関する規制緩和について検討が進んでいるところです。
今夏から開催されている「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」では、EPA介護福祉士候補者および技能実習生を就労直後から人員配置基準に算入する規制緩和案の是非について意見が交わされてきました。

主要な論点のうち、訪問系サービスで技能実習生らの従事を認めるかどうかについてはまだ時間をかけて検討が行われるようです。一方、EPA介護福祉士候補者と技能実習生に関する人員配置基準上の扱いについては、年内に方向性が決まる見通しです。

外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会で話し合われてきたテーマ

本検討会は、外国人介護人材の受入れに関する規制緩和について、社会保障審議会・介護給付費分科会を補完する形で検討を進めています。

第1回(7月開催)は以下について検討が行われていました。

  1. 訪問系サービスで今後、技能実習生や特定技能の在留資格を持つ外国人の従事を認めるかどうか。
  2. 技能実習生の受け入れは設立後3年を経過している事業所にしか認められていないが、新制度ではこのルールを見直すかどうか。
  3. 技能実習生らは、
    ①就労開始後6カ月が経過した場合
    ②日本語能力試験のN2またはN1に合格している場合
    のどちらかの場合に人員配置基準への算定が認められているが、この取扱いについてどう考えるか。

そして第2回検討会(10月開催)は3つ目の「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱い」を議題とし、EPA介護福祉士候補者と技能実習生を、就労開始直後から人員配置基準に算入するという規制緩和について集中的に話し合いが行われました。

なお、同様のテーマが社保審・介護給付費分科会でも取り上げられています(9月8日)。

人員配置基準緩和へ向かうエビデンスを共有 8割の事業所は前向き

EPA介護福祉士候補者と技能実習生は、人員配置基準上、「日本語能力試験N2を取得している者」か「就労開始後6ヵ月を経過した者」が算定できます。

現在、この規定について、就労開始直後から人員配置基準に算入する方向で検討が進んでいます。

(【画像】第2回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会資料より(以下同様)

本検討の場においては、EPA介護福祉士候補者と技能実習生を含む外国人介護人材の受入施設・事業所向け意見などが共有されています。基準緩和をポジティブに捉える回答は、EPA介護福祉士候補者で約76%、技能実習生で約80%と、8割に迫る事業者が前向きな回答を示しています。

即時算定か条件を設定したうえでの緩和かで意見分かれる

これらを受け、慎重な検討を求める声も一部ありますが、方針自体には賛成が目立ちます。ただし賛成派の中でも、どういった条件や基準のもとで算入していくべきかという点では、意見が分かれています。

斎藤正行構成員(全国介護事業者連盟)は「事業者団体の立場とすれば、特定技能を含めた整合性を取っていくということで、即日配置要件に加える対応をぜひとも取っていただきたい」と言及。加えて、給付費分科会等であがっている「事業所の裁量に委ねる」という意見に対し「基本的には即日対応ができることを前提とした中で、事業者が個々に対応・判断できる形にしてほしい」と要望を述べました。近藤篤構成員(民間介護事業推進委員会)や富家隆樹構成員(日本慢性期医療協会)らも即時算定に賛同する意見を提示しています。

対して、日本語要件など一定の条件を設定したうえでの緩和に賛成する意見も複数あがりました。

  • 要件なく一律に算入を認める、または事業所の裁量に任せるのであれば、日本語のレベルや適切な指導体制等に関する基準を整備するべき(今村文典構成員/日本介護福祉士会)
  • 一定の日本語力があることや、質の担保として支援・教育体制が整っていることなどを前提とするべき(内藤佳津雄構成員/日本大学文理学部 )
  • 来日後、初任者研修に相当するような研修をクリアしていただく期間を取り、日本人と同じプロセスを通ってから実践に入っていく、介護保険の給付の対象とするのはどうか(臼井正樹座長/神奈川県立保健福祉大学)
  • 一番のネックは夜勤体制というアンケート結果が出ている。一定期間は夜勤体制には組み込まないなどの条件設定が必要では(臼井座長)

厚労省は今回の検討結果を整理し、並行して開催している社会保障審議会・介護給付費分科会でも共有する方針です。

厚労省は今後のスケジュールとして、今回検討議題となった人員配置基準の緩和については、検討会として年内の取りまとめを目指すことを示しました。一方で、訪問系サービスの技能実習生や特定技能の在留資格を持つ人材の受け入れや、設立後3年を経過している事業所での技能実習生の受け入れについては法務省の検討会結果なども勘案しつつ、年内という期限にはとらわれずに議論を整理していくとしています。

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