10月30日に厚生労働省は、オンラインで第190回社保審・介護給付費分科会を開催。介護老人保健施設の報酬改定について、居宅介護支援事業者との連携やリハビリテーション関連の評価などを検討しました。
介護老人保健施設入所者の早期の在宅復帰を促進するために、入所時からの居宅介護支援事業者との連携を、新たな加算で評価することが検討されています。一方、退所前のみの連携を評価する退所前連携加算については、現行の単位数を見直すことも検討されています。
現状、退所後のケアプランを作成したケアマネジャーと連携を取った時期は、退所前1カ月以内が45.4%で最も多く、次いで入所前が37.9%となっています。
資料によると、居宅介護支援事業所と入所前に連携した場合や、カンファレンス実施回数が1回以上の場合、入所期間が短くなるという結果がでています。
このような結果を踏まえ、入所前からの連携の新たな評価と、退所前連携加算の見直しが検討されています。
介護老人保健施設の提供する居宅サービスとして、通所リハビリテーションは90.6%、短期入所療養介護は92.3%の実績があるのに対し、訪問リハビリテーションは31.7%に留まっています。リハ機能をさらに強化するために、在宅復帰・在宅療養支援等指標の項目のひとつである「居宅サービス実施数」の指標において、訪問リハビリテーションの比重を高くすることを検討してはどうかとの方向性が示されました。
また在宅復帰・在宅療養支援機能の推進の観点から、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3職種の積極的な配置を新たな加算で評価することや、医師の関与によるADL向上の結果から、医師のリハ専門職への指示の明確化等への検討の必要性について提案がなされました。
介護老人保健施設には、在宅復帰・在宅療養支援機能の推進に加え、リハビリテーションによる機能の維持・改善が期待されています。その機能をより推進するために、新たな評価の導入が検討されています。
資料では、入所時から退所時のADLの変化について、入所時のADLに関わらず多くの人が改善しているという結果が示されました。
また、通所・訪問リハビリテーション事業所で活用されているVISITを、介護老人保健施設でも活用することを検討してはどうか、という提案もありましたが、これに対し、委員からは、Barthel IndexやVISITの使用についても、更なる工夫や現場職員への負担軽減を図る必要性があると意見がありました。
引用:第190回社会保障審議会介護給付費分科会「介護老人保健施設の報酬・基準について(検討の方向性)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年11月6日掲載のものです。
ライター歴8年、介護業界取材歴5年。介護業界の経営者や現場責任者、介護関連施設への取材を重ねてきました。介護業界を支える皆さまの役に立つ情報発信を心がけています。