介護分野で必要な行政文書の作成や取り扱いにまつわる負担軽減策について、全13回、約3年にわたり検討を重ねてきた介護保険部会の専門委員会が提言をとりまとめました。11月7日にその内容が公表されています。
国が示している標準様式例の使用を2024年度の介護報酬改定に併せて基本ルールとする方針や、指定申請・更新申請・変更届などの手続きを「電子申請・届出システム」上で行うことを原則化し、25年度までにすべての自治体が利用開始するための対応が盛り込まれています。
社会保障審議会・介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」ではこれまで、事業所や施設の指定申請に関する様式の一本化や実地(運営)指導の効率化を進めるための施策検討、進捗状況の確認などを進めてきました。
今回厚生労働省から示された取りまとめ案には、22年度に集中的に検討された5項目に沿って今後の負担軽減策の方向性が示されています。
指定申請や報酬請求、実地指導に関連する一部の文書については、国によって標準様式例が示されているものの、各自治体での運用にまで浸透しきっていない状況であることがこれまでに指摘されています。
そこで、今後は
との見解を示しています。
行政に提出する文書の作成や提出、保管などにまつわる介護現場の負担は、これまでも数多く指摘されてきました。しかし、これまでは介護サービス事業者側から国や自治体に対し、簡素化や利便性向上につながる要望を提出する決まりがありませんでした。そこで、22年9月29日から専用窓口が設置されています。
これを踏まえた今後の対応として、
指定申請等に係る書類の提出方法について、メールでの提出を受け付けていない自治体があり、この点が業務効率化を阻む要因として指摘されていました。そこで、22年下期から「電子申請・届出システム」の運用をはじめることを前提に、自治体に対して今後のスケジュールや介護事業者の負担を軽減するための配慮を求める事務連絡が9月29日に発出されています。
専門委員会による提言には、今後の対応として、
といった項目が盛り込まれています。
地域による独自ルールの解消・標準化へ向けて、本委員会の決定事項を伝える通知やインセンティブ交付金の評価指標への反映による周知等が実施されてきました。しかし、同委員会ではローカルルールが残っていたり、地域格差が生まれていたりするという意見が示されてきました。こうしたローカルルールを減らして手続きの標準化を進めるための今後の施策として、
との見解がまとめられました。
本専門委員会ではこれまで、国指定権者・保険者及び介護サービス事業者の間でやり取りされている文書に関係する負担軽減を主な検討対象としてきました。しかし、事業者や地方自治体を代表する委員からは
といった訴えも挙がっています。こうした内容も「とりまとめ」に明記され、今後の関係審議会における検討時に持ち越される課題とされました。
厚労省は、この"とりまとめ"に記載されたそれぞれの取り組みに対し、推進を確実に実行することが重要であるとの認識を9月末の会合で示しています。その歳、提言に沿ってガイドラインの作成やシステム改修に係る支援、「電子申請・届出システム」の導入に係る伴走型の支援等を実施していくと総括しました。
なお、本専門委員会は今後、
など、今後も継続的なフォローアップが必要な事柄に合わせて、随時または定期に開催される予定です。
(*関連:『社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会取りまとめ』/2022年11月7日)
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。