介護文書の負担軽減策を取りまとめ 2025年度までに電子申請原則化を目指す

2022.11.08
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介護分野で必要な行政文書の作成や取り扱いにまつわる負担軽減策について、全13回、約3年にわたり検討を重ねてきた介護保険部会の専門委員会が提言をとりまとめました。11月7日にその内容が公表されています。

国が示している標準様式例の使用を2024年度の介護報酬改定に併せて基本ルールとする方針や、指定申請・更新申請・変更届などの手続きを「電子申請・届出システム」上で行うことを原則化し、25年度までにすべての自治体が利用開始するための対応が盛り込まれています。

介護文書に関する負担軽減策の5つの方向性

社会保障審議会・介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」ではこれまで、事業所や施設の指定申請に関する様式の一本化や実地(運営)指導の効率化を進めるための施策検討、進捗状況の確認などを進めてきました。

今回厚生労働省から示された取りまとめ案には、22年度に集中的に検討された5項目に沿って今後の負担軽減策の方向性が示されています。

【1】 指定申請・報酬請求・実地指導関連文書の国が定める標準様式例について

指定申請や報酬請求、実地指導に関連する一部の文書については、国によって標準様式例が示されているものの、各自治体での運用にまで浸透しきっていない状況であることがこれまでに指摘されています。

そこで、今後は

  • 国が示している標準様式例の使用が、どの程度浸透しているのか確認のために調査を行うべき。
  • 指定申請等に係る文書の簡素化・標準化の取組を整理し、自治体向けのガイドラインの作成を行うべき。
  • 24年度介護報酬改定に合わせ、介護保険法施行規則と告示に、標準様式について明記するなどの法令上の措置を行うべき。

との見解を示しています。

【2】 簡素化や利便性向上に係る要望を提出できる専用の窓口について

行政に提出する文書の作成や提出、保管などにまつわる介護現場の負担は、これまでも数多く指摘されてきました。しかし、これまでは介護サービス事業者側から国や自治体に対し、簡素化や利便性向上につながる要望を提出する決まりがありませんでした。そこで、22年9月29日から専用窓口が設置されています。

これを踏まえた今後の対応として、

  • 専用窓口で受付対象とする要望の内容を、引き続き「介護事業者が介護保険法の関係法令の規定に基づいて地方公共団体に対して行う手続きについて、その簡素化や利便性向上に係る国や地方公共団体に対する要望」とするべき。
  • 受け付けた要望について、厚労省は内容や件数、処理状況を整理し、本専門委員会に報告を行い公表するべき。
  • 要望内容は厚労省で精査を行った上で、「全国的に対応が必要」と考えられる内容は本専門委員会で議論等を実施、「個別の地方公共団体に対して対応が必要」と考えられる内容は、厚労省から各自治体に助言等を行うべき。
  • 窓口のフォーマットや運営の方法は、利用状況等を踏まえながら今後も随時検討を行うべき。

との見解を示しています。

【3】「電子申請・届出システム」について

指定申請等に係る書類の提出方法について、メールでの提出を受け付けていない自治体があり、この点が業務効率化を阻む要因として指摘されていました。そこで、22年下期から「電子申請・届出システム」の運用をはじめることを前提に、自治体に対して今後のスケジュールや介護事業者の負担を軽減するための配慮を求める事務連絡が9月29日に発出されています。

専門委員会による提言には、今後の対応として、

  • 円滑な「電子申請・届出システム」の運用開始に向け、必要な業務見直しや準部のために手引きの作成など支援を行うべき。
  • 早期利用を開始する自治体への伴走支援を行い、好事例の横展開等による利用自治体の拡大へ向けた取組を行うべき。
  • 定期的に「利用開始時期の意向調査」を実施し、調査結果の公表を行うべき。
  • システムの機能について、利用を開始した自治体や事業者の意見等も踏まえながら検討を行うべき。
  • 「電子申請・届出システム」の使用を基本原則化し、25年度までに全ての自治体で利用をはじめるために、介護保険法施行規則に明記する等の法令上の措置を行うべき。

といった項目が盛り込まれています。

【4】地域による独自ルールについて

地域による独自ルールの解消・標準化へ向けて、本委員会の決定事項を伝える通知やインセンティブ交付金の評価指標への反映による周知等が実施されてきました。しかし、同委員会ではローカルルールが残っていたり、地域格差が生まれていたりするという意見が示されてきました。こうしたローカルルールを減らして手続きの標準化を進めるための今後の施策として、

  • 老人保健健康増進等事業による調査を行い、各自治体における独自ルールの有無・内容を整理し公表を行うべき。
  • 専用の窓口に提出のあった要望の中で、独自ルールに関する要望を整理し公表を行うべき。

との見解がまとめられました。

【5】その他の課題について

本専門委員会ではこれまで、国指定権者・保険者及び介護サービス事業者の間でやり取りされている文書に関係する負担軽減を主な検討対象としてきました。しかし、事業者や地方自治体を代表する委員からは

  • 処遇改善に関する加算など、介護報酬制度上の加算項目の増加に伴い、提出書類が増加している。
  • 国が標準様式を示している事故報告についても、各自治体での運用にまで浸透しきっておらず事務負担等がある。
  • ケアプランは、情報収集等をアナログで対応する機会が多く事務負担がある。

といった訴えも挙がっています。こうした内容も「とりまとめ」に明記され、今後の関係審議会における検討時に持ち越される課題とされました。

今後の施策については継続的なフォローアップを実施

厚労省は、この"とりまとめ"に記載されたそれぞれの取り組みに対し、推進を確実に実行することが重要であるとの認識を9月末の会合で示しています。その歳、提言に沿ってガイドラインの作成やシステム改修に係る支援、「電子申請・届出システム」の導入に係る伴走型の支援等を実施していくと総括しました。

なお、本専門委員会は今後、

  • 専用窓口に提出された要望についての報告、および改善等の対応
  • 「電子申請・届出システム」の利用状況等

など、今後も継続的なフォローアップが必要な事柄に合わせて、随時または定期に開催される予定です。

(*関連:『社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会取りまとめ』/2022年11月7日)

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