介護事業の経営環境、施設中心に「非常に厳しい」―令和5年度介護事業経営実態調査の結果受け厚労省

2023.11.20
2023.11.20
会員限定
ホームニュース介護介護事業の経営環境…

2022年度の介護事業者の決算数値を受け、厚生労働省は「非常に厳しい状況」との受け止めを示しました。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を初め、入所施設が赤字に転じたことなどを踏まえたものです。

こちらのページでは令和5年度介護事業経営実態調査の結果などを参考に、主要サービスの利益率・人件費率の直近3年間の推移や今回新たに調査の対象となった派遣委託費・人材紹介手数料の状況についてまとめています。

目次
    入所系サービスが初めて赤字の一方、訪問系サービスの収支差率は5%以上に
      人件費率は施設サービスや地域密着型通所・訪問看護で上昇続く
      人材紹介手数料はグループホームで高く給与費の約5%

        入所系サービスが初めて赤字の一方、訪問系サービスの収支差率は5%以上に

        調査は介護報酬改定を検討するための基礎データを得るために行われるもので、全国の3万3,177施設・事業所を対象に5月に実施されました。回答率は48.3%、回答数は1万6,008施設・事業所です。

        これによると、収支差率(利益率)は全サービス平均でプラス2.4%でした(前年度比0.4ポイント減)。サービス別では、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)のマイナス1.0%(同2.2ポイント減)など、施設系サービスは初めて赤字に転落しました。一方で、訪問系サービスの収支差率は訪問介護が7.8%(プラス2.0ポイント)、訪問看護5.9%(マイナス1.3ポイント)訪問リハビリテーションが9.1%(プラス9.5%)と相対的に高くなっています。また、居宅介護支援は4.9%(3.0ポイント増)でした。

        以下に、比較的施設・事業所数の多いサービスの直近3年間の収支差率をまとめます。

        (【表】令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要(案)及び令和4年度同調査結果の概要の税引前収支差より。補助金は含まない。事業所数は令和3年介護サービス施設・事業所調査より)

        人件費率は施設サービスや地域密着型通所・訪問看護で上昇続く

        次に各サービスの収入に対する給与費の割合(人件費率)についてです。

        こちらも、事業所数の多いサービスについて状況をまとめます。それぞれのサービスの数値は介護事業経営実態調査(案)をご確認ください。

        残り2392文字
        この資料は会員限定コンテンツです。
        会員情報をご登録いただくと、
        介護業界の経営支援に役立つ限定公開記事をお読みいただけます。
        業界ニュースや
        専門家記事が
        無料で読み放題
        加算も取得できる
        研修動画が
        無料で見放題
        業務で使う
        各種帳票が
        無料ダウンロード
        関連記事
        岡本貴博
        2024.10.15
        いつでも満員の放課後等デイサービスの共通点とは―今後の運営・事業参入に向けて知っておきたいこと②
        #放デイ・児発 #報酬改定 #起業・開業/事業拡大
        介護経営ドットコム編集部
        2024.09.17
        訪問介護事業に特化した支援策を実施―厚生労働省
        #訪問介護 #介護給付費分科会 #人材採用/定着
        岡本貴博
        2024.09.04
        2024年度障害福祉サービス等報酬改定以降に何が変わる?放課後等デイサービスの今後・事業参入に向けて知っておきたいこと①
        #放デイ・児発 #報酬改定 #起業・開業/事業拡大