12月9日に開かれた第196回社保審・介護給付費分科会にて、厚労省は感染症や災害への対応力強化に向けて、通所介護や通所リハ等における「事業所規模別の報酬区分設定」に関する具体的な対応を提案しました。この提案が決まれば、新型コロナウイルス感染症対応の報酬特例(毎月決まった回数に限り、実際にサービスを提供した時間よりも2区分上位の報酬を算定できる特例)は今年度で廃止となります。
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現行の通所介護や通所リハ等の基本報酬は、事業所の規模に応じた報酬区分が設定されています。報酬区分の決定にあたっては、前年度の平均延べ利用者数の実績に基づいて、翌年度の事業所規模による報酬区分が決定される仕組みを採用しています。
感染防止や3密回避などによる利用者の減少などの状況下においても、状況に即した安定的な運用を可能とすることを目的とし、厚労省は事業所規模別の報酬区分の決定について、以下の2点の具体案を提示しました。
①より小さい規模区分がある大規模型については、前年度の平均延べ利用者数ではなく「延べ利用者数の減が生じた月」の実績を基礎とすることができる(利用者減の翌月に届出、翌々月から適用を想定)
②通常規模型については、延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、「一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者1人当たりの経費の増加に対応するための評価」を行うこと(利用者減の翌月に届出、翌々月から適用を想定)地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、介護予防認知症対応型通所介護も同様の対応を行う。また、評価については、区分支給限度基準額の算定に含めない。
また、現下の新型コロナウイルス感染症の影響による一定割合以上の利用者減については、年度当初から即時的に対応を行うことも示しています。
これらの見直し案について、神奈川県福祉子どもみらい局の水町参考人は「対応案②について、具体的な評価内容が資料からは不明。事業所にとって過大な事務負担となるのでは。また、①②のいずれも届け出や請求事務で事業所や行政の双方の負担増が懸念される」と提言。このほか、現場の負担増を懸念する意見が複数あがりました。
日本医師会の江澤和彦氏は、大規模事業所が大規模の定数の範囲で減った場合には対象にならないことを指摘するなど、議論の余地を残す結果となりました。
引用:第196回社保審・介護給付費分科会「感染症や災害への対応力強化②」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。