在宅領域で介護ロボットが保険給付対象として検討中―厚労省 介護保険福祉用具評価検討会

2023.04.03
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介護保険給付の対象となる福祉用具として、介護者自身が装着してその動作をアシストできる”装着型介助支援機器”や、"単回使用型の排泄予測支援機器"の扱いが新たに検討され始めました。在宅介護の負担軽減に向けて期待が広がります。

保険給付対象への追加2022年度の検討品目は7件

2022年度末の厚生労働省の検討会(介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会)では、介護保険の給付対象として新規で提案された品目と前年度から判断が持ち越されている計7品目に対する評価・検討が実施されました。結果、新規提案された品目のうち、2種目が評価・検討を継続するという判断が下されています。

この日は、2021年11月1日~2022年10月31日までに申請された新規提案6件、および2021年度の同検討会で「評価・検討の継続」と評価された案件1件の計7件の扱いが検討されました。

新規提案分は6件中2件が継続検討の対象に

今回、新規申請分として検討会での評価が行われた6件のうち、「排泄予測支援機器」「装着型介助支援機器(※介護専用)」の2品目が評価検討の継続対象となりました。口腔嚥下機能訓練器具や洗髪器など残りの4品目は、審議に値するエビデンスデータの提出が不十分などの理由により、保険給付対象としての評価は否決されました。

*参考: 検討を要する福祉用具の種目について 【新規】(令和4年度第1回介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会に関する資料より)

評価検討の継続①:「単回測定型」排泄予測支援機器

対象期間に新規申請され、保険給付に向けて評価検討を継続するという判断に達した「排泄予測支援機器」は、超音波を利用し任意のタイミングで尿のたまり具合の目安をチェックできる製品です。スマートフォンと連携し、排尿前後の膀胱内の尿量を推定・学習することで適切なトイレのタイミングを通知できる特徴があります。2022年4月1日からすでに介護保険の対象種目に追加された排泄予測支援機器が「常時装着型」であるのに対し、提案された製品は「単回測定型」という違いがあります。

この提案に対して評価を行った構成員からは、

  • 常時装着型の排泄予測支援機器に関する提案時と同様・同程度のエビデンスデータが必要
  • トイレのタイミングの通知に関して、食事量や水分量の変化によるタイミングの違いまで考慮されているか
  • 誰が測定を実施するのか、高齢者本人が自分で測定できるかなど、在宅でのデータが不足している

といった意見があがりました。

今回の結論として、開発メーカーの規模や製品としての完成度も高いことから、介護保険の対象として認められた「常時装着型」と同程度の定量的なデータの蓄積が求められているものの、期待を込めて「評価検討の継続」と判断されました。

評価検討の継続②:装着型介助支援機器(※介護専用)

もうひとつ評価検討が継続されることになったのが「装着型介助支援機器」です。この機器は、介護者が装着するタイプのもので、立ち上がり等ができない被介護者の介護を行う際の動作安定・負担軽減をアシストする機能を持つものです。

評価・検討の場面では、そもそもこの機器で負担軽減ができる対象者が、要介護者ではない点について是非が分かれました。

「介護者への直接的な支援用具であり福祉用具の給付になじむか疑問」という意見がある一方で、「介護者の使用が前提となる『入浴用介護ベルト』がすでに給付対象となっている」「自立の促進という意味を踏まえ、要介護者側が使用する取っ手をつけるなど、形状面での検証や改善も含め検討の余地あり」といった前向きな意見も挙がりました。

また、被介護者像が明確化されていない点や在宅での実証データが提示されていない点に対する指摘も目立ちました。

具体的には、以下のような内容が挙がっています。

  • 被介護者像を定める必要がある
  • 在宅での利用実績に基づいた効果検証が必要
  • 施設での介護職の利用は想定できるが、付けはずしを頻繁に行う在宅での利用効果や、専門職ではなく家族が使った場合の問題点の抽出とその対策も必要

こうした意見などを踏まえ、引き続きエビデンスデータの収集や実証、適切なアウトカム指標の設定を通じた検討が必要と結論が出されています。在宅介護領域の機器の導入や負担軽減の可能性が広がることには期待する声もあり、更なる開発やデータの蓄積が期待されるところです。

入浴用補助椅子は三度「検討の継続」判断に

この日は、2021年度に本検討会で「評価・検討の継続」と判断された「入浴用補助椅子」についても話し合いが持たれました。

この製品は、特定福祉用具購入として認められているシャワーチェアにシャワーアームが付属したものです。浴槽へのまたぎや断ち座り層がが困難な方や、心臓疾患・呼吸器疾患によりお湯につかる行為が禁じられている方を利用対象として想定されており、両手がフリーになったまま長時間のシャワー浴を可能とすることで利用者や介護者の負担軽減が期待できる特徴があります。

これまで、保険給付の対象とするにあたって客観的なエビデンスデータが不足しているという指摘がされています。3回目の評価・検討となる今回、データ等が追加で示されました。この提案に対し、介護保険の給付対象種目への追加を前向きに検討する意見もあがる一方で、

データの妥当性に課題があるという指摘もあり、「対象者像や介助方法の内容及び機器の使用方法を明確にし、機器の使用前後に取得した数値等の関係性について明らかにすること」を求める形で再び継続審議となりました。

本検討会内で保険適用「可」としても良いのでは、という意見も出ており、保険給付の対象となるときは遠くないかもしれません。

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