2024年度の介護報酬改定では、訪問介護における同一建物減算が強化されました。具体的には、同一建物に居住する訪問介護サービス利用者の「割合」が高い場合に新たな減算区分が創設されています。
こちらのページでは訪問介護における同一建物減算について、2024年4月の改定ポイントについて、留意事項通知の内容なども踏まえてご紹介します。
訪問介護における同一建物減算とは、介護保険給付の公平性を確保するために、訪問介護事業所と同一の建物等に居住する利用者に対するサービス提供等を実施する場合に適用される減算です。同一建物に居住する利用者に偏ったサービスを是正するための仕組みです。
24年度の介護報酬改定では、更なる報酬の適正化を図るため、事業所の利用者のうち一定割合以上が同一建物等に居住する者である場合にも減算が適用されるようになりました。
① 同一建物に居住する利用者の「人数」に加え、利用者の「割合」に基づく区分を新設。 ② 新設される区分では「12%」の減算を適用。
減算の内容と適用される要件の関係は以下の通りです(※赤字が今改定における変更点)。
【画像】「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(厚生労働省)より
訪問介護事業所は毎年度2回、下記の判定期間でのサービス提供総数のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者に提供されたものの占める割合が90%以上の場合に、減算が適用されます。
※24年度については、前期判定期間を4月1日から9月30日、減算適用期間を11月1日から3月31日までとし、後期判定期間を10月1日から2月末日、減算適用期間を25年度の4月1日から9月30日までとする。
上述の通り計算した同一敷地内の建物等に居住する利用者の割合が90%以上に至る正当な理由があれば、事業所はその理由について都道府県知事に届け出る必要があります。適用免除となる「正当な理由」に該当する例として、厚労省は以下のケースを示しています。
なお、都道府県知事が「正当な理由」として提出した内容を不適当と判断した場合は減算が適用されます。
判断は各都道府県知事に委ねられ、地域的な事情等も含め諸般の事情を総合的に勘案し、正当な理由に該当するかどうかが適正に判断されることとなります。
すでに発出されている24年度介護報酬改定に関するQ&Aのうち、訪問介護における同一建物減算に関するものを一部抜粋して記載します。
参考:厚労省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A」掲載ページ※厚労省特設ページ「令和6年度介護報酬改定について」(リンク先)下部に掲載
Q.
同一建物減算についての新しい基準は、令和6年11月1日から適用とあるが、現在90%を超えている事業所が、減算適用されることになるのは、令和5年度後期(令和5年9月から令和6年2月末まで)の実績で判断するのではなく、令和6年度前期(令和6年4月から9月末まで)の実績で判断するということでよいか。
・ 貴見のとおりである。令和6年度前期の実績を元に判断し、減算適用期間は令和6年11月1日から令和7年3月31日までとなる。この場合、令和6年10月15日までに体制等状況一覧表を用いて適用の有無の届出が必要となる。
・ また、令和6年度後期(10月から令和7年2月末)に90%を超えた事業所については、減算適用期間は令和7年度の4月1日から9月30日までとなる。
・ なお、令和7年度以降は判定期間が前期(3月1日から8月31日)の場合は、減算適用期間を10月1日から3月31日までとし、判定期間が後期(9月1日から2月末日)の場合は、減算適用期間を4月1日から9月30日までとする。
今般の改定により、訪問介護事業所における指定訪問介護の提供総数のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が90%以上である場合に減算適用することとされたが、90%以上となった場合は全利用者について半年間減算と考えてよいか。
同一敷地内建物等に居住する利用者のみが減算の適用となる。
ケアマネジャーからの紹介があった時点で、既に同一敷地内建物等に居住する利用者であることが多く、これにより同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が90%以上となった場合については、正当な理由に該当すると考えてよいか。
訪問介護事業所は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第36条の2において、訪問介護事業所の所在する建物と同一の建物に居住する利用者に対して指定訪問介護を提供する場合には、当該建物に居住する利用者以外の者に対しても指定訪問介護の提供を行うよう努めなければならないこととされており、単にケアマネジャーから地域の要介護者の紹介がないことを理由として、同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が 90%以上となった場合は、正当な理由には該当しない。
通常の事業の実施地域内に同一敷地内建物等以外に居住する要介護高齢者が少数である場合について、これにより同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合が90%以上となった場合については、正当な理由に該当すると考えてよいか。
正当な理由とみなして差し支えない。
ただし、訪問介護事業所は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第36条の2において、訪問介護事業所の所在する建物と同一の建物に居住する利用者に対して指定訪問介護を提供する場合には、当該建物に居住する利用者以外の者に対しても指定訪問介護の提供を行うよう努めなければならないこととされており、お問い合わせのケースについては、通常の事業の実施地域の範囲が適正かどうかも含め、同一敷地内建物等以外に居住する要介護高齢者へも指定訪問介護の提供を行うよう努めているかどうか確認を行うこと。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算を算定する場合は、正当な理由に該当すると考えてよいか。
正当な理由には該当しない。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。