【2024年度介護報酬改定】現場従事者のテレワークについて職種ごとのルールが明らかに―厚生労働省が通知で明示

2024.04.03
2024.04.18
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2024年度介護報酬改定で重視されている施策の一つが、「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」です。
その具体的な施策にテレワークの推進があります。

3月29日発出の通知では、介護現場の従事者のうち、人員配置基準で必要数が定められている職種のテレワークが認められる範囲が示されました。

ポイントとしては、書類作成等の事務作業や事業所外の専門職といった業務は、日時を事前に決めておけば、テレワークの実施が認められます。
一方で、利用者らとの面談・相談やアセスメント等のための観察等については、詳細な注意事項も定められています。

「介護職員」や「生活相談員」、「機能訓練指導員」といった職種別の取り扱いも明らかになっていますのでご確認ください。

目次
    2024年度介護報酬改定で現場従事者も一定の範囲内でのテレワークが可能に
      介護事業所等の現場従業者のテレワークに関する基本的なルール
        「利用者の処遇に支障が生じないと認められる範囲」とは
          テレワークの実施について職種ごとの考え方(人員配置基準を下回る場合)
          個人情報の適切な管理について

          2024年度介護報酬改定で現場従事者も一定の範囲内でのテレワークが可能に

          今回新たに考え方が示されたのは、介護保険法上の各サービスにおいて人員基準や運営基準で配置が義務付けられている現場従事者のテレワークについてです(特別養護老人ホームの職員、軽費老人ホーム、養護老人ホームの従業者もこの内容に準じた取扱いが可能)。

          なお、事業所や施設などの管理者のテレワークは、「個人情報の適切な管理を前提に、介護事業所等の管理上支障が生じない範囲内において」可能であるとの考え方が23年9月時点で示されていました。今回の通知以降も基本的にこの方針が踏襲されます。

          介護事業所等の現場従業者のテレワークに関する基本的なルール

          介護事業所等の従業者によるテレワークについて、基本的なルールは以下のとおりです。

          ①人員配置基準等で定められた必要数以上の従業者は、基準を上回る部分について、個人情報の適切な管理を前提に、テレワークを実施しても差し支えない。
          ※例えば常勤換算3.0人が必要で実際の配置数が常勤換算 3.2 人の場合、常勤換算0.2人の部分で従業者がテレワークの実施が可能。

          ②基準上の必要数を上回らない部分については、利用者の処遇に支障が生じないと認められる範囲内であれば、テレワークを実施しても差し支えない。
          ※例えば常勤換算3.0人の配置が必要で、1人のがテレワークを実施し、サービス提供場所(事業所・施設等及び利用者の居宅等)で業務に従事する従業者数が3.0 人を下回る場合(例えば、常勤換算2.8 人となる場合)でも、 利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、テレワークを実施しても差し支えない。

          ③人員配置基準等で常勤換算職員数や常勤職員数等の具体的な必要数が定められていない職種については、 個人情報の適切な管理を前提に、当該職種の職責を果たすことができるのであれば、人員配置基準上は、業務の一部をテレワークにより実施しても差し支えない。

          ただし、②の人員配置基準を下回る場合、原則としてテレワークが認められない職種があります。

          「利用者の処遇に支障が生じないと認められる範囲」とは

          前述の②の通り、テレワークを実施することで現場の人員配置基準が満たせなくなる場合、「利用者の処遇に支障が生じないと認められる範囲」に限定してテレワークが認められます。その具体的な範囲は以下の通りです。

          (1) 各職種の従業者がテレワークを行い、事業所等を不在とする場合でも、運営基準上定められた各職種の責務・業務に加え、テレワークを実施する従業者が実務上担っている役割を果たす上で、支障が生じないよう体制を整えておくこと。
          ※テレワーク実施者本人、管理者及びテレワーク実施者以外の従業者に過度な業務負担が生じ、利用者の処遇に支障が生じることのないよう留意する。
          ※事業所等に不在となる時間が一定以上生じることで、その職種としての責務の遂行に支障が生じる場合はテレワークの実施不可。
          (2)テレワークを実施できる日数・時間数は、サービスの種類や事業所等の実態等に応じて、各事業者で個別に判断する。
          ※終日単位で事業所等を不在にする場合、利用者の処遇に支障が生じないかを特に慎重に判断する。
          (3)勤務時間中、事業所等の現場に出勤する従業者とテレワーク実施者の間で適切に連絡が取れる体制を確保する。
          (4)テレワーク実施者の労働時間の管理等、適切な労務管理を行う。
          (5)個別業務のうち、書類作成等の事務作業、事業所外の専門職との連絡等の業務については、予めテレワークを行う日時を決めておけば、テレワークで実施しても、利用者の処遇に支障がないと考えられる。
          (6) 個別の業務のうち、利用者・入所者との面談・相談やアセスメント等のための観察等の業務については、相手方の表情や反応を直接確認する必要があり、自身と相手方の双方に相応な機器操作能力が求められることに加え、情報通信機器を通じた音声の聞き取りづらさ等、意思疎通の上で一定の制約がある。 そのため、情報通信機器を用いた遠隔での面談等の実施については、意思疎通が十分に図れる利用者について、利用者本人及び家族の理解を得 て行うなど、適切に対応すること。 ただし、家族との面談については、家族側でも操作環境が構築でき、家族の同意がある場合には、テレワークで実施しても、利用者の処遇に支障がないと考えられる。

          テレワークの実施について職種ごとの考え方(人員配置基準を下回る場合)

          今回の通知では人員配置基準を下回る場合のテレワークの実施について、職種ごとに詳細な留意事項が示されています。

          主なものを以下に紹介します。

          ① 医師について(介護老人保健施設、介護医療院および介護老人福祉施設)

          • 介護老人保健施設及び介護医療院の医師は、個別の入所者の状態によってはオンライン診療に準じた対応では十分ではない場合があることに留意する。

          • 施設に不在となる時間がある場合、 緊急時の対応の体制を整え、利用者の処遇に支障が生じないようにしておく。その際、テレワークの実施及びそれに伴って生じる事態について、予め責任の所在を明確にしておく。

          ※介護医療院の I 型療養床で求めている医師の宿直は、テレワークでの実施は認められない。

          • 介護老人福祉施設(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、 空床利用型短期入所生活介護を含む。)の配置医師は、人員基準上の具体的な必要数の定めはないが、入所者の状態を適切に把握することが困難な場合には入所者の処遇に支障が生じることに留意する。

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